another world story
〜pop’n&smash〜
第2話





 ―――アッシュ達が旅の準備を始めたのと同時刻。

??「わ
あああッ」
『ドガラララッ!! ドスッ』



 立派な日本家屋に、屋根を突き破って中へと落下してきた青年一人。
 中の住人――黒髪の妖艶な女性は、さして動じるでもなく、音と声がした方部屋の方向を向いた。…女性は、朝食を摂っていた。
 味噌汁椀を置き、緩やかな動きで立ち上がる。

 宇宙船や天使が落ちてくるのが常であるこの区域では現状も然して驚くようなものではなかったが、それでも女性は普通の者より落ち着き払った反応をしていた。
 ふすまを開き、先刻音のした隣の部屋へと入る。

「あぁ…これはまた派手に壊れたものね」
 天井に開いた大きな穴からは、青い空が覗いていた。
 そして瓦礫を巻き込んで落ちてきたらしい青年が一人、畳の上でのびている。
 青年は、赤い髪をしていて剣を持ってはいるものの、どうやら宇宙人でも天使でもなさそうだった。

「またMZDに修理費請求しないと」
 着物を着た女性――ムラサキは、溜息をついて腕を組んだ。


 ***


スマイル「何はともあれ、朝ごはんまだだったんだから、まずは食べてからだよねー」
 アッシュが用意を始め、他の皆も手伝って迅速に作ることができた朝食。
 …MZDとユーリ、スマイルは面倒がってダイニングに移動したのみだったが。


リンク「料理上手なんですね。…えっと…アッシュさん…でいいんですよね?」
 少し不安そうにリンクがアッシュに尋ねる。
 ユーリ達がアッシュ、と呼んでいるのを聞いただけで、本人から自己紹介されているわけではない為、自信がないようだ。

アッシュ「そういえば名前言ってなかったっスね。俺はアッシュっス。」
スマイル「僕はスマイルだよ〜。」
ユーリ「私はユーリだ。」

MZD「こいつらはDeuilっていうバンド名で活動してんだ。」
スマイル「結構人気あるんだよー。」
 スマイルはそう言って、傍にあったウィンナーを口に入れた。

フォックス「あ、俺もしないとな。フォックス・マクラウドっていうんだ。フォックスでいいよ。」
リンク「私はさっき言いましたよね。私達はスマデラという…グループでいいんですかねぇ…。」
フォックス「いいんじゃないのか。まぁ、そのグループのメンバーなんだ。」

アッシュ「どんな事をするグループなんっスか?」
 そのアッシュの言葉に2人は顔を見合わせる。

リンク「ちょっと説明しにくいんですが…強くなりたい、と願う人達が集まって戦ってるんです。」
MZD「住み込みのジムみたいなもんか?」
フォックス「そんなものかな。」

スマイル「ところでさー、皆食べないの?」
 いつの間にかパンにイチゴジャムをつけながらスマイルが聞く。

アッシュ「そうっスね。食べるっス。」
 そういうわけで6人は少し遅めの朝食を摂った。


 ***


 そして食後…。
リンク「あ…あれ?」
アッシュ「どうしたっスか?」
 急にソワソワとしだしたリンクにアッシュが話し掛ける。

リンク「あの…私の剣がないんです。」
スマイル「剣?」
リンク「はい。さっき私たちの事を話しましたよね。私は剣士としてそれに参加してるんです。」
 どうやらその剣がとても大切な物らしく、困った様に周りを見回す。

フォックス「元々持ってきてないんじゃないのか?」
リンク「でも鞘はここにあるんです。」

スマイル「……あ!」
 それまで何かを考え込んでいたスマイルが突然手を打った。

スマイル「どっかで見たと思ったけど、それアッシュの部屋だよ!」
アッシュ「俺の部屋っスか?」
スマイル「うん。見慣れない剣がベッドの上に落ちてたよ。」
リンク「分かりました!取ってきますね!」
 そう言うと、リンクは走って出て行った。

MZD「…ところで。」
 それを見送ってからMZDがアッシュ達の方を振り向いた。

ユーリ「何だ?」
MZD「あいつ この家の事把握してんのか?」


 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・してるわけないじゃん!!


 アッシュ、スマイル、ユーリの3人の3人は慌ててリンクが走って行った方を見るが、もう姿はなかった。



 ***


リンク「・・・・・・・・・」
 暫く走ってアッシュの部屋を目指していたリンクは、数秒程前から立ち止まって絶句していた。
 勢い込んで走ってきたはいいものの、アッシュの部屋がどこにあるのかはおろか、現在地点すら分からない。
 おまけにリビングに戻る道順も覚えていない為に引き返す事も出来ず。

 …この状況は……

リンク「迷った・・・・・。」
 この歳になって迷子かよ、と思うことなかれ。
 城とは本来、城壁・城内と合わせて敵の侵入を阻む役割も担っているのだ。
 簡単に王の許へ辿り着かれぬよう、迷路の様な造りをしているのも至極当然だった。

 …とはいえ、右も左も分からない状態では動きようもない。
 これはどうしたものか。
 迷子になった経験がないわけでも、ないのだが。

 …しばらく思案し、やがて、止まっていてはどうにもならないという事で歩き出した。
 今度こそ道を覚えながら。…ここから覚えてもあまり意味を成さない気もしたが。



アッシュ「そっち見つかったっスか?」
フォックス「駄目だ、見つからない」
スマイル「どこに行ったんだろーね?」

 リンクを捜し始めて早15分経過。
 下手をすれば遭難をして一生見つからない者も現れる程の迷路のような城では、たった1人の人間を探し出すのは困難を極めていた。

 MZDに神の力で見つけてもらおうと思ったのだが、直前に「じゃ、仕事があるから」と煙の様に消えられてしまった。
 仕方なく地道にアッシュの部屋やその近辺の部屋を捜してみるものの、やはり居た痕跡すら見付けられなかった。

ユーリ「一度リビングに戻るか?」
フォックス「そうだな、戻ってきているかもしれない」
 そして一同はリビングへと一旦引き返してゆく。



 階段は登っていない。
 リビングもアッシュの部屋も1階だから、自分のいる階数と同じ……はずだ。
 なのに、どちらにも辿り着けないとはどういういことだろう。
 この城の広さに、いい加減嫌になる。

リンク「ここは一体どこですか・・・。」
 そもそもアッシュの部屋のドアの特徴も覚えていない。
 そういえば迷子の鉄則に「その場から動かない事」というものがあった。
 …皆が探してくれていたら、の話だが。

 もういっそ暫く動かないでおこうか。
 考えつつ角を左に曲がると……

リンク「また行き止まり…?」
 正面には壁。

リンク「ん?」
 …否、それは壁ではなくドアだった。
 これはどこに繋がっているのだろうか?

リンク(これを開いても同じ景色だったらこの場で止まりましょうか…)
 ドアノブに手を掛け、回す。
 開いた、瞬間。

『キンコーン♪』
リンク「!!!?」

 鐘の音に似た音が大音量で鳴り響いた。
 思いっきり驚いたリンクは、ドキドキと鳴る胸を左手で押さえつつ、音源の方向…ドアの向こうを覗き込んだ。
 そこには、先刻まで自分が見ていたものより遥かに広い廊下が広がっていた。

 ドアから向こうに出て、ぐるりと周囲を見回す。
 左には大きなホール、右には少し行った先に、見上げる程大きな扉。
 そこでようやく、先程の大きな音が呼び鈴で、ここが玄関付近なのだと理解した。
 …一体どこをどう通って玄関まで来たのだか。

『キンコンキンコンキンコーン♪』
リンク「うわっ…」

 ドアを隔てるより大きく聞こえる音が、今度は連続で鳴る。
 思わず耳を塞いで、玄関の扉の方へ走った。

『キンコンキンコキンコキンコキンコキンコーンッ♪』
リンク「分かった、分かりました、今開けますからッ」
 半ば叫びつつ広い廊下を走る。
 大きい割りに軽い扉を押し開けると、

?「おはよう、アッシュ!MZDこっちに来てるって聞いたんだ…け………、…あれ?」
 扉を開いた途端にまくし立てた訪問者は、リンクの姿を見て首を傾げた。
 訪問者は、人間の体に猫の顔をつけたような、声からすると女の子のようだった。

?「貴方誰?」
リンク「それはこっちのセリフなのですが…。」

?「私はニャミ。貴方は?」
リンク「リンクです。アッシュさんなら中に居ますよ」
ニャミ「なら、上がらせてもらうね」
 ニャミは、慣れたように中へと入って歩いていく。
 ここへは頻繁に来ているのだろうか?
 と、そこへ。

アッシュ「リンクさん、ここにいたんスか!」
 ホールを抜けて、アッシュが小走りでやってくる。
 その姿にリンクはようやくホッとした。これで迷子から解放だ。

ニャミ「あ、アッシュ。ねぇ、MZDがここに居るって聞いたんだけど…」
アッシュ「ニャミさん…一足遅かったっスね。MZDなら少し前に帰ったっス」
ニャミ「うあーっ!?またすれ違い!んもーっ、落ち着きのない神ねっ」
アッシュ「まぁまぁ。折角来たんスし、少し休んでいきませんか?」
ニャミ「…そうする。もう疲れちゃった」

アッシュ「リンクさんも一度リビングに戻るっス。そこから俺の部屋に行きましょう」
リンク「あ、はい」
 今度こそ迷わずに行ける、とかなり安心をしたリンクだった。


 ***


 リンクがスマイルと共にアッシュの部屋に行くためにリビングを出て、ニャミは大きなソファーでだらりと座った。
ニャミ「何で引き止めておいてくんないのよー」
ユーリ「仕方がなかろう。こちらとて引き止めたかったのだ」

アッシュ「ところで、何でMZDを捜してるっスか?」
ニャミ「家屋損壊したから修理費請求しに来たの。生物が過失によって降ってきた場合は可だって言ってたもんね」
フォックス「生物が…?降るのか?」
ユーリ「この世界では天使や宇宙人が誤って落下する事が多い」
フォックス「…そうなのか」
 つくづく不思議な世界である。

ニャミ「ま、落下してくる区域は主に人間の住む場所なんだけどね」
アッシュ「ニャミさんの家も人間の住む区域にあるっスね」
ニャミ「あ、そうだけど今回壊れたのは私の家じゃないの。ムラサキの家」
ユーリ「ムラサキ…?」
 ムラサキと言えば、弟と二人暮らしの着物が似合う女性だ。
 …弟は放浪癖がある為殆ど家に居ないらしいが。

ニャミ「私とミミは神との接点が多いし、会ったらよこすように頼まれたのよ。まぁ暇だったし、どうせなら捜そうと思って」
アッシュ「何が降ってきたんスか?」
ニャミ「それがさ、聞いて!」
 よくぞ聞いてくれました、というように身を乗り出すニャミ。

ニャミ「降ってきたのは人間だったんだって!」
フォックス「!」

ユーリ「…その人間はどんな姿をしている?」
ニャミ「んー、ちょっと見ただけだからよく覚えてないけど、確か赤髪の剣士だったよ」
 ニャミの言葉に、フォックスが表情を変えた。


ユーリ「やはり、心当たりがあるのだな。」
 その様子を見てユーリが言う。
フォックス「あぁ…多分それは……。」





ムラサキ「……起きないわね。」
 青年の頭に乗せていたタオルを換えながらムラサキが呟く。
 さすがに放っておくわけにはいかず、こうして看病しているわけだが、青年は一向に目覚める気配がない。

 外傷は全くない。
 天井に開いた大穴がなければ、青年が空から落ちてきたなど、自分でも信じられない程だ。

?「う…うぅ……。」
ムラサキ「!」
 ぼんやりと大穴を見ていたムラサキだったが、青年の呻き声に、慌てて顔をそちらに向ける。

ムラサキ「大丈夫……?」
?「・・・な・・・・・・。」
ムラサキ「な?」

「納豆カレーバンザーイ!!!」

 青年は突然起き上がりそう叫ぶと、再びパタリと倒れた。
 これにはさすがのムラサキも驚いたらしく、胸を押さえて目を丸くしていた。

ムラサキ「…一体何なの…この子……。」






〜To be continued〜




<幻作の呟き。>

スマデラ知ってる人ならもう分かっちゃいましたかね、赤髪のヒト。
そして毎度の事ですが、文章が乱雑な幻作。(すまぬ・・・!!)
ノートに書くと、見直しする回数も少ない上に書きたいこと走り書きしまくるので、量は増えるが文の質は悪い状態。ぐあぁ。

普段夢小説で主人公視点ものばかり書いているため、普通の小説の表現をたまに忘れそうになります。(駄目やん)
しかも私が書くとかなりの確率でメチャクチャなギャグが入り込むんですが、これはどうしたもんか。
何が悪いって、闇星さんのまとも文章との釣り合いが取れないのですよ!
へ、変文ですまぬ、闇星殿…!この持病は治せない!(コラ)
奇人変人の幻作とタッグ組んだのが運の尽きと諦めてくれ。(貴様)

2005.…いつだっけ。(覚えててよ)


この辺から自分が書く毎にアトガキを書いていったので、リアルタイムなアトガキを載せます。
どれがどの部分のアトガキかは推理してやってくださいまし。


<リアルタイムなアトガキ。>

幻:えー、今回から 書く度にアトガキをここに書いていこうと思います幻作です。
  いい加減リンクの性格掴めてもいいような気がするのに……orz
  というか暇すぎてこのページ数。ムラサキさん宅での事がここに繋がりました。
  ていうことでバトンタッチ。


闇:バトンタッチされた闇星でーすvvムラサキ姐さんの性格が掴めませーん(涙)
  スマブラのサムス姐さんみたいなもんかなぁ…。
  最初は不安だったけど、それなりに話になってる様なんで人安心!!
  これからどうなっていくのでショーカ?