another world story
〜pop’n&smash〜
第11話
廊下をパタパタと走り、ニャミは1つの部屋の前で止まる。
ニャミ「えっと……うん、ここだよね?」
部屋番号を確認すると、誰にともなくそう呟いてそのドアをノックした。
しかし、いつまで待っても返事がなくニャミは首を傾げる。
ニャミ「いないのかな……あれ?」
そう言いつつ何気なくドアノブを捻ると、ドアはキィと音を立てて開く。
ニャミ「…?」
ドアの隙間から見える部屋の中は薄暗く、ニャミは最初鍵をかけ忘れたのかと思った。
が、暗闇の中に目的の人物の後姿を見つけ、ニャミは声を掛けた。
ニャミ「ねぇ、何してるの?」
スマイル「僕はあの日、控え室に忘れ物をしちゃったんだ。」
声のトーンを落として、呟くようにスマイルが口を開く。
スマイル「それで当然取りに行ったんだけど…どういうわけか、部屋の明かりがつかなくてさ…仕方ないから手探りで忘れ物を探してたんだ。」
ロイ「そ、それで…?」
ゴクリ、と喉を鳴らしてロイが尋ねる。
丁度そのロイと向かい合うように座っていたマルスが一瞬顔を上げたが、すぐに再びスマイルへと目を向ける。
スマイル「…突然ドアが音を立てて閉まってね…声が聞こえたんだ。確かに誰も居なかったはずなのに、ね。」
ロイ「…何て?」
スマイル「少し高い女の子の声で…。」
「ねえ、何してるの?」
ロイ「っつうぎゃああああぁ!!!!!」
突如自分の後ろから聞こえた『少し高い女の子の声』に、ロイはこの世のものとは思えない様な悲鳴を上げて声の主を見上げる。
ロイ「…っ……あれ?」
しかし、そこにいたのは自分と同じように驚いた顔をしたニャミで、ロイは首を傾げる。
……暫しの間。
ニャミ「…って、いきなり何なのよー!!」
ロイ「そりゃこっちのセリフだ!っつーかいつから……。」
マルス「話の途中からだよ。」
互いに大声を出す二人に、マルスがごく当たり前の様に言う。
ロイ「知ってたんなら教えろよ!」
マルス「だって、話を中断させるのは悪いと思って。」
スマイル「ロイの位置からだとニャミは見えなかったんだよね。」
ロイ「ってお前も気付いてたのかよ…。」
ヒヒヒ、とおかしそうに笑うスマイルに脱力したかのように溜息をつく。
一方、未だに状況がよく掴めないニャミはマルスに口を開く。
ニャミ「何してたの?」
マルス「僕達?怪談話をしてたんだよ。枕投げに並んで旅館の夜の定番だよね。」
ニャミ「…はぁ。」
『そういうものなの?』と思わなくもなかったが、敢えて突っ込まない事にした。
スマイル「そーいえば、そっちは何の用だったの?」
ニャミ「え?あ、そうだった。これ届けようと思って。」
逆に質問されてニャミは目的を思い出して、後ろ手に持っていたカエルのおもちゃを差し出す。
ロイ「あ、これ…」
ニャミ「女湯に落下してきたの。あなた達のでしょ?」
マルス「わざわざ届けに来てくれたんだね。ありがとう」
足りないと思ってたんだ、と言い加えて、ニャミからカエルのおもちゃを受け取るマルス。
そして“あれだけおもちゃがあって足りないのが分かるんだ…”と心中で空笑いするニャミ。
スマイル「ヒヒヒ、ニャミも怪談やる?」
ニャミ「え?っていうかスマイルは怪談なんてやってて楽しいの?」
スマイル「あ、ソレ禁句ー」
肩を竦めるスマイルと、「ごめんごめん」と笑いながら謝るニャミ。
ロイは二人を交互に見て、首を傾げる。
ロイ「どういう事だよ?」
スマイル「ロイ達は人間だから、あんまり関係のない話ダヨー」
ロイ「………あ」
言われて初めて気付いたが、スマイルはほぼ幽霊と変わりが無いのでは……
マルス「自分が圧倒的優勢な怪談話は楽しいよね」
スマイル「んー、どこからツッコんだらいいのか分かんないけど、凄く人聞きが悪いのは確かだね」
二人揃って笑い出すのを聞きつつ、ロイとニャミは思わず閉口した。否、閉口せざるを得なかった。
何気にスマイルとマルスの二人は中々気が合うのではなかろうかと、脳内のどこかで疑問を持たずにいられない。
スマイル「ところで、まだ会談続ける?全部実話だよ〜」
ロイ「……遠慮します」
今までの怪談を嘘と思って聞いていたわけではないが、信憑性が明確になった現在、そんな事を言われれば妙に生々しく聞こえてしまうものである。
ニャミ「ていうか、そろそろ寝なよ?明日も歩くんだから」
スマイル「それもそうだね。じゃ、僕は部屋に戻るよ。オヤスミー」
ロイ「ああ、おやすみ」
マルス「おやすみ」
ニャミ「あ、私も戻るよ。皆お疲れ様、ゆっくり休んでね」
マルス「うん。また明日頑張ろう」
ロイとマルスは、手を振って退室する二人に手を振り返した。
一気に人口が半分になった部屋を見回し、ロイは一つ息をつく。
ロイ「……実話か………」
急に静けさが目立つようになったせいか、頭の中で先程の話がリピートされる。
マルス「楽しかったね」
ロイ「………」
マルス「…ロイ?」
ロイ「…え?何だ?」
マルス「……、やっぱり何でもない」
ロイ「?」
にっこりと笑むマルスに、ロイはただ首を傾げるだけだった。
スマイル「たっだい…まー……」
部屋に入った直後の言葉は、尻すぼみになった。
理由は簡単、部屋の明かりが既に落とされていたからだ。
アッシュ「…スマ、お帰りっス。ユーリがもう寝てるっスから、静かにして下さいね」
スマイル「ハーイ…」
小声で簡潔に会話を済ませ、スマイルは月明かりを頼りに、空いている布団を目指してそろりと忍び歩きをする。
そもそもこの三人は別々の部屋で寝起きしていたので、生活習慣からして全く違うのだが、スマイルにはこの時間帯に既に熟睡している事が驚きの対象にしかならなかった。
アッシュの場合は、元々生活習慣が健康的なものではあったが、ユーリほど就寝が早いわけではない。
そういえばユーリは、バンドを始める前はうっかり200年も寝続ける程の睡眠好きだった、とスマイルは思い出す。
年寄りくさい、と言えば(例え寝ていても)怒られそうな気がするとはいえ、こんなに早々に、しかもぐっすり寝ているとなるとそう思わずには居られない。
実を言うとスマイルは、部屋に戻ってからもう少し起きていようと思っていたのだが、どうやらそれは無理らしい。
アッシュ「スマ、頑張って寝るっスよ」
スマイル「……しょうがないね」
アッシュ「おやすみなさい」
スマイル「オヤスミ〜」
一番右の布団の中に潜り込み、スマイルは目を閉じた。
翌朝。
早起きのメンバーは早速朝の一仕事を強いられていた。
寝起きの悪いメンバーの叩き起こし、である。
あれだけ寝たのに、7時半を過ぎても目を覚まさない者が居るのだ。
アッシュ「朝食は8時っス。顔を洗ったりする時間を考えると、そろそろ起こさねぇと…」
廊下に集っている早起きメンバーは、アッシュの言葉に頷いた。
フォックス「じゃあ俺はマルスを起こしてくるな。」
今、この場にいるメンバーの確認をしながらフォックスが言う。
まだ起きていないのはマルス、スマイル、ユーリ、ニャミの4人。
特に寝起きの悪いらしいユーリを2人掛かりで起こす事にしたので、他は必然的に1人に付き1人となってしまう。
ロイ「んじゃ俺はスマイル!」
ムラサキ「私は…言うまでもないわね。」
そう言うとムラサキはくるりと踵を返すとニャミが眠っている部屋へと向かう。
リンク「…と、いう事は私達がユーリさん、ですね。」
アッシュ「そういう事っス。…すぐ起きてくれるといいっスけど。」
溜息をつきながら歩きだすアッシュにリンクは首を傾げつつも後を追う。
ロイ「ってオイ!ユーリとスマイルは同じ部屋なんだから俺もそっちだっつーの!」
誰にともなくそう言って走り出したロイを見送って、フォックスは1人その場に残された。
フォックス「…で、待ち合わせ場所はここなのか?」
ぽつりと呟かれた言葉に返事は返ってこなかった。
***
マスター「…やはり、普通のドアではない、か。」
石造りの殺風景な室内の中マスターは座り込んでいた。
部屋に窓はなく、目の前にあるこのドアだけが出入り口だ。
しかし、少し蹴り飛ばせば簡単に壊れてしまいそうな外見をしているくせに、いくら蹴ってもびくともしない。
どうやら何か特殊な施しがしてあるようだ。
マスター「……あの馬鹿が。」
へらへらと笑っている「アイツ」の顔を思い浮かべて悪態をつくが、それで状況が変わるわけでもなく、マスターは溜息をついたかと思うとその場に横になった。
自分の力を解放すれば、こんなドアなど一瞬にして破壊できる。
しかし、それをする事は下手をすればこの世界を破滅へと向かわせる事になりかねない為、マスターには手の打ちようがなかった。
ならば体を動かすだけ体力の無駄だと考え、マスターは瞳を閉じた。
***
ユーリ「………」
目覚めた直後……否、目覚める前から、自分のすぐ近くに瀕死の他人が居る。
それはユーリにとって、案外日常の内だったりする。
ユーリは、まるで目覚まし時計のベルを力一杯止めるような体勢で目覚めた。
…しかし、その手の平の下にあるのは目覚まし時計などではなく……頭。
勿論自分のものではない。金色のそれは、リンクの頭だ。
半ば寝惚けていたユーリは、その感触を確かめるや否や一気に覚醒し、頭から手をどけた。
しかしリンクはピクリともしない。
アッシュ「や、やっと起きたっスか!?ユーリのアホー!!」
ユーリの僅かな動きを感じ取って、畳の上で泣き崩れるようなポーズでうずくまっていたアッシュは、ガバリと顔を上げて身を乗り出した。
ユーリ「…すまない、またやってしまった…」
ユーリにしては珍しく、狼狽しつつ冷や汗をたらしている。
アッシュは、今までユーリによって顔面を布団に沈められていたリンクを抱え起こした。
アッシュ「な、何とか息してるみたいっス…良かった…!!」
白目をむきかけたリンクを畳の上にごろりと寝かせ、涙目になるアッシュ。
――事の始まりは10分前。
リンクとアッシュは、2人がかりでユーリを起こすべく入室した。
アッシュはまず、部屋の窓を開いて朝の空気を取り入れた。…そして、
アッシュ「あ、リンクさん。一つ重要な注意をするっスよ。ユーリを起こすときは絶対傍に行って起こしちゃ……ってあー!?」
アッシュが振り返った頃には時既に遅し。
リンクは「ユーリさん、起きて下さい」と、かの銀髪吸血鬼を起こすべく声を掛けながら肩を揺り動かしていたのだ。
アッシュ「駄目っス!!リンクさん逃げてっ」
リンク「え?」
リンクが疑問符をつけてアッシュの方へ振り向こうとして、瞬間、それより早くリンクは後頭部に言い知れない衝撃を感じ、そのままの物凄い勢いでユーリの体の隣に顔面を沈めることと相成った。
リンクには何が起こっているのか分からなかった。
しかしアッシュには全てが見えていた。
…ユーリが、自分を起こそうとしているリンクの後頭部を右手で布団にハタき落として、そのまま上から押さえつけているのだ。
ユーリ「…むー…うるさいぞアッシュ……。もう少し寝かせろ…」
リンク「もごっ!?うー!!」
アッシュ「あぁっ、リンクさんがユーリの凶悪寝起きの餌食に!!」
このままでは窒息しかねないリンクを救出する為、アッシュは必死になってユーリの手を剥がそうとしたり、リンクを引っこ抜こうと奮闘した。
が、寝惚けているくせにどこから力が出てくるのか、ユーリの手はびくともしない。
普段の力より強いのではないかと思う程だ。
アッシュ「リンクさん死なないでー!!!」
アッシュの叫びが室内に響いた。
ユーリが起床したのはそれから数分後、リンクがもがくのをやめてぐったりした頃だった。
…思い出すもおぞましい。
以前アッシュ自身も同じ被害に遭った事が有るが故に、リンクが必要以上に憐れに思えてならなかった。
因みに、ユーリのこの行動は一種の癖で、昔スマイルがユーリを起こしていた時代に一般常識から考えられないほどのうるささで起こされていたのが原因となっていて、起こす役がアッシュに代わってもその癖が続いていたのだ。
そして現在も尚抜けていない。
故に、ユーリを起こす際は少し遠くから叫んで起こすのが常套手段となっていたのだが。
リンク「……う…」
アッシュ「あ、気がついたっスか!?リンクさん、深呼吸して下さい」
リンク「………何がどうなって…?」
ユーリ「…すまない、私がやった」
アッシュ「ユーリの寝起きは、悪いにとどまらず殺人的だって事っス。」
…アッシュの言葉に、ユーリは最早何も言い返せなかった。
リンクは、若干ぼーっとしながら体を起こした。
リンク「そろそろ行かないと…皆が待ってますし」
ユーリ「スマイルは?」
アッシュ「この惨劇を予想して、起こしに来てくれたロイさんと一緒に既に部屋を出たっスよ。…スマはスマで転がしても起きなかったんでロイさんも苦戦してたっス」
ユーリ「そうか…」
アッシュ「さ、ユーリも早く顔洗って出るっスよ」
こくり、頷くユーリだった。
フォックス「お、やっと出てきた。あんまり遅いから、様子を見に行こうかと思ってたぞ」
アッシュ「すまねぇっス。思ったより手こずって…」
ユーリ「すまない、朝は苦手でな…」
…そういう問題ではない気が、と心の中でツッコんだ者、約数名。
ロイ「取り敢えず、おはようだな」
ムラサキ「朝食は大広間で食べる事になってるみたい。時間も丁度いいから行くわよ」
ニャミ「はーい」
そして一同は大広間へ行き、軽めの朝食をとった。
流石に朝食には魚介類は無かったので、昨晩のような惨事が起こる事は無く、珍しく穏やかな時を過ごせたと後にメンバーは語る。
そして…。
ニャミ「よぉーっし!それじゃあシュウさんの所に行こう。」
旅館から出てすぐのニャミのその一言にユーリ達が首を傾げる。
それもそのはず。
ユーリ達は修三には会っていないのだから。
その事に気付いたニャミが、慌てて説明を始める。
ニャミ「あ、そっか。シュウさんっていうのは刀鍛冶さんでね、ほら、ロイの剣が欠けちゃったでしょ。だから直してもらおうと思って昨日剣を預けてきたんだよね。」
ロイ「ああ。中々いい人そうだったぞ。」
ニャミ「いい人そう、じゃなくていい人なのっ!」
ロイの一言に笑いながらツッコミを入れる。
リンク「成る程、だから今朝は剣の稽古をしなかったんですね。」
ロイ「そーいう事。後で時間があったらしようぜ。」
リンク「ええ、いいですよ。」
スマイル「じゃあ取り敢えず剣を取りに行かないとね。」
ニャミ「うん。ほら行くよー。」
そう言うとニャミは歩き始め、他のメンバーも後に続く。
程なくして修三の家へ到着し、家のドアを開けようとした所で手が止まる。
ニャミ「あれ?開かない。」
ユーリ「まだ寝ているのではないのか?」
ニャミ「ううん。だってシュウさんは家に居る時は鍵かけないもん。」
その言葉に「無用心な…」と思いつつ辺りを見ていたフォックスは、あるものに気付く。
フォックス「なぁ、あの…工房か?あそこの煙突から煙が出てるんだけど。」
アッシュ「え?あ、本当っスね。」
ニャミ「えぇっ!?…あーっ!まさかっ!」
何か思い当たる所があったのか、ニャミは勢いよく工房の中へと入っていった。
そしてそこで修三の姿を見つけ、思わず大声を上げる。
ニャミ「やっぱりー!シュウさん徹夜したでしょっ!」
修三「お、誰かと思えば。丁度いいタイミングで来たな。」
ニャミの言葉を軽く流すと修三は剣を鞘に収める。
修三「ん?何だ人数が増えてるな。」
ニャミ「昨日は別行動だったから。それより、徹夜しなきゃいけない程だったんなら無理して今日じゃなくても良かったのに。」
罪悪感を感じてシュンとしてしまったニャミの頭を軽く叩いて修三が笑う。
修三「いや、直すの自体はそんなに時間がかからないんだがな、変わった材質だったんで、つい色々見ちまってな。ほらよ。」
そう言うと後ろに居たロイに剣を手渡す。
修三「コイツは普通のもんとは違うみたいだな。大切にしろよ。」
ロイ「あ、あぁ。サンキュー。………?」
渡された剣を受け取りながら、ふとロイは疑問を覚える。
修三の言う通り、この剣は普通の剣ではない。
この剣は封印の剣と呼ばれる代物で、この世で最も硬いとされる竜の鱗を貫く為に作られた物だ。
従ってこの剣が欠けるという事は通常考えられない事だ。
それに……。
ムラサキ「どうしたの?」
ロイ「…え?あ、いや別に…。」
掛けられた言葉にそう反射的に答え、ロイは思考を中断する。
そんなはずはない、と自分に言い聞かせながら。
ニャミ「シュウさん、ありがとうね!でも本当にお代いいの?」
修三「気にすんなって。それより…武器を直しに来たっつー事は、また何かあるってことか?」
ニャミ「えっ、ううん、そんな事ないよ!!振り回してたら欠けただけっ」
ロイ「おい、そんな、小さい子が傘で遊んだみたいな言い方…」
言いかけた所で、ニャミがぺちんとロイの口を塞いだ。
ニャミ「六もよく刀直しに来るんでしょ、それと同じだから心配しないで」
修三「ならいいんだが…」
ムラサキ「じゃ、私達急ぐからそろそろ行くわ。弟の事、よろしくね」
修三「おう、気ぃつけてな」
修三が手を振って、一行は工房を後にした。
ロイが礼を告げて最後に出てきて、戸を閉める。
そして少しばかり口を尖らせた。
ロイ「ニャーミぃー」
ニャミ「あー、ごめんごめん。シュウさんは色々つらい目に遭ってるから、モンスターの事は知られたくなかったの」
スマイル「ヒヒヒ!ドンマイ傘振り回し少年☆」
ロイ「…しょうがないな…。」
まあいっか、と小さく息をつき、鞘に収められた剣を半分抜いて、欠けていた部分を見た。
剣は綺麗に磨かれ、新品同様に輝いていた。
***
ビトレイ「奴は…奴はどこだ…」
苛ついたように呟きながら、全ての元凶…ビトレイは、しきりに魔力を探っていた。
近距離に居る誰かの、ではない。
遠距離のどこかに居る人物――正確には神だが――を探す為、その魔力を探っているのだ。
正確な位置が掴めない。一体この世界のどこに居るというのか。
クレイジーハンドから「殺し損ねちゃった」と面白そうに報告を受けてから、暇さえあればこの調子だ。
クレイジーハンドのあの様子は、故意に殺さなかったに違いない。楽しんでいるのだろう。
あいつと組むのは間違いだったか…?
…いや、あいつの力はまだ必要だ。
しかし“奴”に手を下すのは自分でなければ。そう、今度こそ確実に殺す為に。
時間はまだある。世界を繋ぐ欠片が全て集まるまで。
集まりそうならば…妨害をすればいい。
僅かに笑んで、ビトレイは再び“奴”……MZDの居所を探り始めた。
***
フォックス「必要な物は買った、剣は受け取った…で、」
リンク「昨日の今日ですが、出発しても大丈夫ですか?」
リンクが問うと、視線を受けたマルスは「大丈夫」と頷いた。
…生気を吸われたというのに、驚異的なスピードで回復している。
アッシュは思わず、この人は本当に人間だろうか…と考えて、危うく肯定する自信を無くしかけた。
ユーリ「…さて、南西だったな」
ニャミ「そーそー。こっから先は暑いから気をつけて! あ、日焼け止め塗っときなよ」
ロイ「……………何だって?」
ムラサキ「そういえば…南西は砂漠だったかしら。なら長袖を着た方がいいわよ」
火傷するから、と付け加える。
…ロイは思わず黙り込んだ。
スマイル「どーしたの?ロイ」
ロイ「………砂漠……俺、待ってちゃ駄目か?」
スマイル「多分欠片が集まるまでこっちには戻ってこないから、さよーならになっちゃうけどいい?」
ロイ「う…それもちょっと…」
顔を顰めて唸るロイ。
それを訝しく思ったムラサキは、ロイに尋ねた。
ムラサキ「砂漠が苦手なの?」
リンクがあんな理由でタコを嫌っている位なのだ、もしやロイにもそういった事が絡んでいるのか?と疑いたくもなる。
ロイ「…あのな、俺…」
スマイル「うん」
ロイ「………………暑いのダメなんだ」
……………。
黙るポップン世界の一同。それを見て苦笑するスマデラ世界の(ロイを除く)一同。
スマイル「さーて行こっかー」
ユーリに出して貰った日焼け止めを塗りつつムラサキに通信鏡で方角を確かめて貰って歩き出すスマイル。表情はにこやかだ。
ロイ「いや俺、本当に…!」
フォックス「…諦めるしかなさそうだぞ」
ぽん、とロイの肩に手を置くフォックス。
ロイは盛大な溜息をついた。
…ついでにユーリも憂鬱そうに俯いていた。
〜To be continued〜
<幻作の呟き。>
遂に闇星殿のサイトより早くUPする事になっちゃいました、リレー小説です。
この辺はわりと最近(?)の文章です。記憶に残ってますよ。
神様の状況とか色々楽しいですv
とりあえずギャグを詰め込めるだけ詰め込める場面通過って感じでしょうか。
ユーリの寝起きは夢小説にも書いてます。同じ設定です。(流用か!!?)
いやもう、大好き寝起きユーリ様。書いてて楽しすぎる。
で、次からは砂漠編ですよ。
何か戦闘が多めになる感じですよ。戦闘場面任されちゃったので泣く泣く頑張りました。
同時UPなので、続きが気になるお方はどうぞお読み下さいませ。
では。
UPした日:2007.3.5
それでは、ここから先はいつもの様にリアルタイムのアトガキを。
ちなみにネタバレになるような部分等は例によって消しておきますゆえ。
<リアルタイムなアトガキ。>
闇:書くの遅くなってゴメンなさいv(謝る気ねぇなコノヤロっ!)
枕投げかと思いきや…変化球で怪談しちゃってますよ!
自販機は…あるんちゃうん?ガチャポンあるし(ぇ …ってか神カード凄いね!何でもござれよですネ(何
そろそろ朝にならないとマズイか?と、思いつつパスユ→!ファイト!
闇星は羽を生やして飛んでった!(爆!
幻:うおー!ようやく1日目終了ですぜオヤビンッ!!
本当は全員の就寝シーン書くつもりだったけど、某人の秘密があるので1部屋にまとめ。楽だけどね!(コラ)
怪談素敵だ…!ナイスだ!確かにその手があったねー。
てか、最早修学旅行と化してますがな!(…否めねぇ…)
そしてユーリはジジくさいです。早寝です。しかし朝日が嫌いです。(…)
さあ、どうなる2日目!欠片は集まるのか!?
飛んでった闇どんを追うため、ファルコンは幻作を召喚!!「ゆけっ、幻作!!」「Yes,sir!!」 2006.5.29
闇:またも書くのが遅くなりましたゴメンナサイ闇星です(うわぁ
今回はマスターちゃん(!?)の事を書いてみました。諦めがいいのがこの人のいい所です!多分ね!
そういえばユーリが特に寝起きが悪いとか書いちゃったケド大丈夫だったかな?
とにかく2日目突入!剣を忘れずに取りに行こうっ!
羽で飛ぶのって意外に疲れるよね、と呟いてみる。
幻:テスト期間中に何やってんだ、な幻ですハイ。だーってーぇ、楽しかったんだものー(コラ)
ユーリさんは特にどころか最凶に寝起き悪くて構いませんどーぞー。リンク殺しかけました。がはっ!!
そーいや今回、ユーリの寝起きしか書いてねーやん。うわー!!!つ、次ヨロシク…(倒)
闇どんを撃ち落とすべく、幻作はバズーカを撃った!! 2006.7.4
闇:初めて長い休みの間持ってました闇星だぎゃ(誰
ユーリさんの寝起きシーンにツボってみました。あれはいつか誰か殺っちゃうね(ニコリ
んで今回はニャミとロイの出番が多かったカナーv
どうやらロイは何かに気付きかけたようです。中断しちゃったけど。んだば次ヨロシクー!
バズーカがクリティカルヒット!ダメージは3倍だっ!(ぇ
幻:さっさと書いてパスユーしちゃう幻作デース。はーはん?(何)
えぇ、ユーリはきっと誰か殺っちまうに違いありません。フォックス辺りどーよ(やめい)
そして私もニャミ&ロイの出番が多かった罠。シュウさんと顔見知りな人って考えるとつい;
まぁイベント的にもあの二人の出所だったしね。
で、ビトレイが動いた。MZD殺るつもりですよアイツ。
そ・し・て!砂漠に半分とつにゅー。
ロイが暑いのを嫌がる理由がどっから来るのか知らないポプメンバー。どうなる砂漠越え!
バズーカを更に撃つ!!HP削りまくる!! 2006.9.6