「アッシュ、ユーリ」
呼び止める声がして二人は足を止めた。
丁度一旦舞台裏へ引っ込んだ時だったので、場所としては楽屋近く。
振り向くと、そこには見知った顔があった。
「ミミと…ニャミか」
「お疲れ様っス」
この二人が揃っているのなら大概は司会の仕事だ。
今日は一緒にはならなかったが、別の番組で今から始まるのかもしれない。
それなのにわざわざ会いに来たからには何かあったのだろうか。
今朝の電話の件を問いただしに来たのであれば、少々ややこしかった。
「お疲れ様。今からちょっといいかな?」
「時間的には少しだけ余裕があるから大丈夫っスけど……どうしたんスか?」
「それがね……」
ミミが言いかけ、ふと気づいたように辺りを見回す。
「…あれ?スマイルは居ないの?」
「ああ、今日は欠席だ。大したことはないが。スマイルに用か?」
「ううん、皆に。ニャミちゃんが気になってることがあるんだって」
ね、とニャミの方を見ると、彼女はいつになく静かに「…うん」と頷いた。
そういえばさっきから口数が少ないかもしれない。
その表情は、どこか陰りを帯びていた。
ニャミは不意に視線を上げ、ユーリとアッシュに視線を合わせる。
「場所を移すだけの時間はある?」
彼女にしては本当に珍しいほど、話の内容を明らかにしない問いだった。
だから二人は、一度だけ顔を見合わせて、
「20分ある」
こう答えた。
楽屋に招き入れて早々、ユーリは椅子に座ろうともせず先ほどの答えを求めた。
「それで、どうしたんだ」
込み入った事情をあまり聞いていないらしいミミはユーリの様子に少しだけ戸惑った。
時間がないから焦っているというよりは、返答そのものを早く聞きたいように見えたからだ。
「…ユーリ。せめて座ってもらうっスよ」
「いいの。私も早く話をしたいし、時間もないから」
アッシュが勧めかけた椅子をニャミが断って、部屋の入口周辺に留まったまま話が始まる。
「えっとね。……『』って人、誰?」
その静かな一言で、アッシュとユーリの表情が変わった。
二人の反応に、ニャミは彼らにとってが全く面識のない人物ではないことを知る。
「…どこでそれを知った?」
「今日、電話でお城に呼び出されたの。外へ出られないって」
外へ。
―――城の外へ出て何をしたいのかが何となく分かる二人には、恐ろしい事実だった。
「どうして番号が……いや、それで出したんスか?城の外へ」
「あ、…ううん。最初は『歪み』の事を知らないみたいだから教えようと思ったけど、……最終的には教えずに帰っちゃった」
「………」
複雑そうな顔でそう言われて、この話の本質がうっすらと浮かび上がる。
――恐らくニャミは、『見た』のだ。
「ねぇ、って子、誰?…知らない人、じゃないんだよね?」
「ニャミちゃんが言うには、『城の居候』らしいんだ。でももしかして全然関係ない人だったらいけないから、言いに来たの」
ね、と確認を取ると、ニャミは小さく頷く。
「女の子の名前が出るから廊下で話すのはまずいかなと思ったんけど。……それでどうなの?」
「お前は、会って何ともなかったのか」
質問には答えずにユーリから問いで返されて、ミミもニャミも眉をひそめ「え、」と零す。
ミミは「何を言っているのだろう」と。
けれどニャミは。
「私は大丈夫だったよ。でも、あれ以上は無理だったかも」
そんなニャミの返答にミミが驚く。
…彼女は、何を見聞きしてきたのだろうか、と。
「何ともなかったのなら、いい。……彼女のことに関しては本当に居候だ。だが込み入った事情がある。しばらくは城に近づかない方がいいかもしれんな」
「……そうなんだ」
「心配しないでいいっスよ。それも数日の間だけっスから。それが終わったら――」
終わったら、……も。
アッシュは不意に黙りこんで、考える。
ミミもニャミも、とは関わりがあった。
ならば元の世界へ帰ってしまうことを伝えるべきだろう。
「…二人とも、今のことを含めて話があるっス。時間がないから手短に説明すけど、いいっスか?」
「え?あ…うん」
こくんと、二人が頷く。
アッシュが言わんとしていることが分かって、ユーリは黙ってそれを見ていた。
―――と。
「まぁそっから先は俺が引き受けようか」
急に一人分の声が増えて、全員が振り向く。
部屋の中央にあるテーブルの上へ行儀悪く座る、サングラスを掛けた少年――MZDが降って湧いたようにそこに居た。
「…MZD」
ため息混じりにユーリが呼ぶと、彼は「よう」と軽く手を上げた。
「え、何、なんか…すごく事が大きくなってきてるような気がするんだけど、ニャミちゃん」
「うーん…。MZDから説明があるみたいだし、いっそ聞いた方が早いのかも」
「おう、俺から話せることは話すつもりだ。最低限ユーリとアッシュ、と思ったがミミニャミも居るとは好都合。……さて、最初に一つ言わなきゃならねぇことがある」
MZDはテーブルに座ったまま脚を組んで、入口付近に固まっている四人を指さした。
「お前ら明日の予定、あいてるか?」
***
が一人にさせてほしいと部屋に篭ってから、しばらくが経つ。
六とリュータとスマイルは、居間で何をするともなしに座っていた。
「これから…どうすっかな…」
誰に言うでもなくリュータが呟く。
返答はなかった。
「がこのまま出てこなかったら、どうします?」
今度は明確に話しかけた。
だからスマイルがそれに応じる。…どこかぼんやりとしているようだったが。
「…そうだね、それなら…僕は帰ろうと思う。出てきたくないってことは、なるべく誰も居てほしくないってことだから」
「ちょっ……!放って帰るなんて俺には出来ませんよ!」
「この家には六が居るし。傍にいて良い時と悪い時があるよ。自分がどうしたいかじゃなくて、がどうしてほしいかを考えたい。…一人になりたいっていう、明確な意思を聞いたはずだよ」
「………」
がどうしてほしいか。
そう言われて、ここに留まっているのは自分の希望にしかすぎないのだと思い知る。
それはとても心に重かったが、なぜか説得力があった。
なぜならスマイルが……のことを何より優先させているように感じたからだ。
この人はこんなだっただろうか、とリュータは頭の片隅で思う。
言ってしまえば彼はいつだって何にもとらわれず…自分自身にすら関心が薄いように見えたのに。
「でも、それじゃあ最後まで出てこなかったらどうしたらいいんですか…」
「それは……無い、と思う。は必ず出てきて決着をつけるよ。何も出来ないまま帰れなくなるのは、今よりもっと怖いだろうからね」
ちゃぶ台のそばで壁に寄りかかっていたスマイルが、力なく「ヒヒヒ」と笑った。
「…に気取られないように、離れた部屋で寝泊まりすることも出来るが」
今まで喋らなかった六が、不意にぽつりと零した。
――笑っていたスマイルの口角が、ほんの僅か下がり歪む。
「………駄目だよ六。そんなこと言ったら、…甘えそうになっちゃうじゃない?」
ぽつぽつと、まるで切れかかった明かりのように彼はそう言った。
表情から色を消せば、片目が隠れているせいでとても分かりにくいものになった。
だから。
「…お前がそう思うのなら」
六が肯定したきり、誰も何も言うことはなくなった。
それからその日の内にが出てくることはなかった。
***
外は雨がまだ降ってる。
月明かりなんてない。
だから蛍光灯の明かりだけがこの部屋を照らしていた。
何となく薄暗く見えるのは外からの光が一切消えたからなんだろう。
「……」
一人っきりの空間。
何も答えは出ない。
多分日付はもう変わった。
そういえば今日一日何も食べてないなと思い至ったのは少し前で、でも何も食べる気が起きなかったからそれはそれでいいんだろうと無視。
だって食べる気力すら惜しかったんだ。
今考えてることで手一杯だったから。
着崩れたままの着物を直すこともせず、ぎゅっと膝を抱えたまま部屋の隅を見る。
……ほんの僅かな闇が、の影に見えて恐ろしかった。
。
もう手の届かない『元友人』。
今は自分へ殺意を向けるだけの人。
もう一度話さなければならない。
怖くて怖くて仕方なかった。
でも逃げてしまえばから咎められそうで、出来ない。
――自分がやったことから、また目を逸らすのか、なんて。
償ってももう届かないのは分かった。…でも、諦めるのも許してはくれないのだと、思った。
と、面と向かって話し合い――なんて、出来るわけがない。
きっと自分が怯えて竦んで何も言えなくて、それでまた責められて否定されて憎まれて。
それで終わりだ。
どうしようもなかった。
真正面から憎悪をぶつけられるその未来を思うと、胸を穿つような苦しさに襲われた。
…いや違う。
一度本当に穿たれたからだ。
「……あぁ」
昔の傷が痛んだ。
掻き毟って削ぎ落としてしまえたら、まだ楽なんだろうか。
そんなことを考えていた時だった。
「」
静かにふすまが開いて、名前を呼ぶ声がした。
一瞬頭の中が凍る。
この空間には一人だけなのだと勝手に決めつけていたから、誰かが入れるなんてすっかり忘れてた。
「……」
何の反応も返せない。
今の状況とそれまで考えてた事が正面衝突して、どちらをどれだけ考えればいいのか頭がバグったみたいだった。
「…悪いな。スマイルには入るなと言われていたが、俺はどうしても気になった」
ここに来た時のように、六はごく自然な動作で隣に座る。
切れ長の瞳はこちらをまっすぐ見ることはない。
視線を受け止めきれるかと言われたらそうでもなかったから、ありがたかった。
――と、実は何かを持っていたようで、六はそれをこちらへ差し出す。
「とりあえず、何か腹に入れろ」
それは皿に乗せられた、おにぎりだった。
ちょっと大きい。
多分その大きい手で握ったから。
ひとつ受け取って、じっと見る。
見比べるように隣を見る。
そして、しばらく迷って。
……何だか今なら食べられる気がして、小さく口を開いてかじってみた。
あ、中身鮭だ。
「スマイルとリュータはもう帰らせた。じっくり考えて答えを出してほしい、と言っていた」
「……」
咀嚼していたのを止める。
…自分のせいでまた、
「また人を振り回した、とは考えるな。全員お前の為を思って行動している。自分を責める材料にされたくはない」
「――…」
…もう一口、食べる。
味がよくわからない。
「………それで、答えは出たのか」
答え。
「…何の、答え?」
いろんな事が全部自分を問い詰めているようで、何にどう答えればいいのかなんて分からなくなっていた。
そう、だから何も結論なんて出ない。
そして答えを出すことに恐怖すら感じる自分がいた。
「……何の、か」
六は足を投げ出して、ゆっくりとまばたきをした。
その返答を、待つ。
「――お前がどうしたいか、だな」
言われて、また思考が止まった。
…どうしたいか。
「…え、……や、明日城に帰るだろ」
「ああ」
「それでと…会って」
「ああ」
「…帰る話を、しないと」
言葉の最後がしぼむ。
今のままじゃ到底無理な話だと自分で分かっているからだ。
「」
「…、何?」
「それは『やらなければならない事』だ。俺が聞いているのは『お前がやりたい事』だろう」
「………」
――やりたい、事。
それが許されるなら。
自分は――
「いや、駄目だ。だってMZDが折角用意してくれたチャンスだし、ずっとずっと苦労してたみたいなんだ」
「この際MZDはどうでもいい」
「…だ、って……アッシュもユーリもスマイルも、あの城に置いてくれたのはいつか帰る為で、あの場所が波長が合うからって無理に、」
「それも今はいらない。お前の、希望は何だ」
「――…」
ばっさり、切り落とされてゆく。
全部全部落として、それで残るのは。
…言っても、いいんだろうか。
「……えっと、な」
「ああ」
「…俺……、」
「ああ」
「………本当はに、会いたくない。城に帰りたくないし話し合いもしたくない」
「…ああ」
言ってしまうことが罪のような気がして、堰き止めてた。
でも一旦言ってしまえば止まらない。
「全部無かったことにして明日のこと放り出して逃げたい。…だってもう何も届かないし、…怖い」
「……」
「会えばまた殺すって言われるんだ。それで殺されるんだ。もう嫌だ…っ」
ぼろりと、涙がこぼれて視界が霞む。
かじりかけのおにぎりに、ひとつふたつ吸い込まれた。
「城の三人も、もしかしたら怒ってるかもしれないんだ。が全部事情を話してたら、昔の事とか俺が女だって事とか、もうバレてる。そしたらずっと騙してた俺のこと、許してくれない…!!」
今日来たスマイルも、内心はどうだったのだろうか。
何も考えられなかったから気にする余裕もなかったけど、ひょっとしたら冷めた目で見ていたのかもしれない。
「自業自得だって分かってる。でも……もう、誰かに疎まれるのは、嫌だ」
ぎゅう、と喉が締め付けられる。
言うと同時に自覚するのが、苦しかった。
「……このまま、俺が匿ってもいい」
「……」
唐突にそんなことを言われて、はっと隣を見る。
ぼたりと畳に涙が落ちた。
「匿う、は違うか。もう居場所は知れている。…が、誰もお前に干渉できないように門前払いをするくらいは出来る」
いつものように淡々と告げるその様子が、今は不思議なもののように思えた。
「だから、お前の願いは聞ける」
そこで初めて目を合わされる。
鋭い目…だけど、それが優しいのを俺は知ってる。
「……六、」
「だが少し聞け。スマイルはいつになく表情をよく変えていたし、今日はお前のためにリュータと一緒になって駆けずり回っていたようだ。あいつらの話じゃ、城に住むあとの二人もそうらしい」
「―――…」
「敵だとは、俺は思わん。…それに、元の世界の事もとやらの事も全てを放り出してもいいが、後悔はしないか」
ぽたり。
もうひとつ畳に水滴が染みて、視界が少しまともになる。
「お前が思っている以上に味方は多いし、…やれることも多い」
六の言葉が、すとんと胸に落ちる。
「さぁ、お前がやりたい事は何だ」
―――今度こそ、何か答えを出せそうだった。
***
「…な……なんスか、これは…」
「……」
時刻は深夜過ぎ。
仕事を終えて帰ってきたユーリとアッシュが見たものは、とんでもない惨状。
まず玄関に飛び散った花瓶の破片。
次いで床の足あと。
そしてリビングの明かりをつけて照らし出されたのは、台風でも通過したのかと思うほど凄まじい光景。
何がどうしてこうなったのかなんて、疲れている彼らは考えたくもなかった。
というより現状を認めたくない。
が、しかし。
「………これ、明日までに片付けなきゃならないんスか…」
「正確には明日の昼まで、だな」
そう、明日の昼にはこの部屋との故郷が繋がる予定だ。
そしてミミとニャミを含め数名が見送りに来る。
が帰るのかが帰るのかは今のところ分からない。
だからの見送り、となると不確定だ。
けれどミミニャミから言わせれば『君が帰らなかったらその時は、慰めも兼ねて歓迎パーティでもしよっか』だそうだ。
だからが帰っても帰らなくても名目は今のところ「の見送り」でいい。
のことがあるのは知っていてそんな風なのだから、却って心強かったりする。勿論それは他に何人も居合わせる事前提だったから、というのもあるだろうが。
今日MZDから説明を聞いて、もう一日の猶予もないことが分かって。
…まずユーリとアッシュは焦った。
だって当の本人の居場所がわからないのだ。これではが帰ることなど不可能だ。
しかしどうやらMZDもそのことに気づいたらしく、意味ありげな顔で『なら今は六の家に居る』と伝えてきたのだからこれにも驚いた。
まさかこんな所から情報がくるとは思ってもみなかった。
ついでにスマイルもそこに居るらしい。
アッシュが慌てて楽屋に置いておいた携帯をチェックし、留守電を聞いて、そこでようやく安堵した。
…ミミにもニャミにも意味不明な行動だったようだが。
ちなみにどちらかしか帰ることが出来ない、ということについては、やはり驚きもしたし耳を疑いもしたし胸が痛かった。
けれどもうどうしようもないのだと知った時、あとは本人次第なのだと覚悟を決めるしかなかった。
本人が一番ショックを受けているはずだ。納得のいくように手助けをするくらいしか出来ない。
――勿論、の本当の顔を知っているユーリとアッシュは、その『最後の話し合い』が不公平になるのを予想して、まともな会話になるように努めようと密かに決心したのである。
明日の昼、城のリビング。
帰るのはどちらか一人だけ。
明日は珍しくMZDが手ずから仕事をサボらせてくれるのだそうだから、心配は無用だ。
何でも『今回だけは俺のミスの分ってことで、お前らの分身作って誤魔化しとく』だそうだ。その場の四人のみならず他の面子も。(それなら今日の仕事もサボらせて欲しかったが、それを言う前に物凄く急いで帰られてしまった)
ただ一つ心配なのは、――のことだけ。
今は六の家に居ると分かったからまだましだが、電話をかけるなと留守電に入っていた上にスマイルもそこに居るらしいからスマイルの携帯にも連絡が入れられない。
完全に待ちの状態。そこから連絡は入っていない。
靴がないから帰ってきたとも思えない。
そしてこの部屋の惨状。
……さて、どうするべきか。
「…とりあえず。まずはの様子でも見に行きましょうかね」
「そうだな、知らない間に色々あったようだ」
思ったよりも行動をしていたらしい彼女の様子を見る必要がありそうだった。
大人しく眠っているのだろうか、それとも。
「それが済んだら晩御飯……いやもう夜食っスかね。食べて一息入れてから片付けしましょう」
「……何とも骨の折れる話だな」
けれど今やれることは、これしかない。
明日帰ってしまうかもしれない。
否、帰るのはかもしれない。
どちらかが帰ればどちらかが残る。
…が帰ることになったら、残るのはだ。
そうなれば場合によっては別の場所に移り住んでもらう可能性がある。…主にMZDの家へ。
ユーリには、に関して確かめたいことがあった。
それがまだだから、彼女をこの城に置いている。
たった一つ――に確認できれば、をここに居させる理由もなくなるかもしれなかった。
「…さて。じゃあまずはの部屋に行って様子を――」
言いながら廊下へ振り向いた…その時。
「……ただいまー」
玄関の方から小さくそんな声が聞こえた。
アッシュもユーリも顔を見合わせて声の主を待つ。
どう聞いてもその声は。
「…スマイル」
ゆっくりとした歩調でリビングの明かりに吸い寄せられてきたのは、間違いなくスマイルだった。
「……アッス君に、ユーリ。…ただいま」
にーっ、といつもの笑みを浮かべるその様子は、どこかおかしい。
「れ、連絡もせずにどうしてここに!…いや、まず聞きたいことが山ほどあるんスからね!?」
「わかってるー。………でも僕も、今は…」
深夜の暗い廊下。
リビングから漏れる光の中に、スマイルが力なくしゃがみ込む。
頭を抱えて、苦しそうに呻いた。
「疲れちゃったよ……」
その声が泣いているように聞こえたのは、腕の内で声がこもっていたせいか。
アッシュとユーリには判断がつかない。
ただ、
『何も出来ないって、また僕を笑うのかなぁ』
そう小さく呟いたのは微かに聞き取れた。
だから、リビングの奥にあるキッチンまで荒れていないことを祈りながら、まずは温かい夜食を先に作ることになったのである。
〜To be continued〜
<アトガキ。>
先に言います……ごめんなさいorz
年内に仕上げるぜとか言いながら多分無理です。
色々ゴタゴタがありましたが言い訳しません、すいません。
とはいえ本当にあと少しなんですよね。
アニメで言えば最終回の残り15分ってところでしょうか。
この先の展開、大体想像ついてるかと思います(笑
大丈夫、書いてる本人が王道好きなので、読めちゃっても構わないという投げっぷり。
いいじゃないですか王道。奇をてらうのはギャグからいきなりシリアスに落っこちた時だけで充分(モゴモゴ
…いや、狙ったわけじゃないですけども。
実は次の話がもう既に少し出来てます。
これ繋げるの、時間を置いたら無理だろうなと思いまして。
六さんが実に美味しいところを掻っ攫ってる気がします。きっと例の『最初の方に気付いた特典』ですね☆
スマイルは夢主さんに近づきたかったり離れたり忙しいです。
一生懸命考えるけど人間味に欠けるせいで気の遣い方に慣れないスマイル、兄貴風吹かせててもそれがとても心地よい熱血漢・ただしここ一番で空回りするリュータ、普段無口で無愛想なのに常識人なせいで一番美味しいところを地道に漁夫る六。
うん、ちょっと面白い組み合わせかもしんなかった。変な個性バリバリで。
さて。前から言っていた『今まで好き放題書き散らしたツケを清算する』的な事は、今回で完了です。
内容的には、友人さんが予定外の動きをしたツケなんですが。
あの時彼女が脱出なんて試みなければニャミちゃんにも心配かけず大掃除の必要もなかったのに(笑
というわけで。
あとどのくらいですかねぇ。概算して前の計算と同じ話数で終わりそうなのですが。
頑張って参ります。
2014.12.28