お父さんお母さん。娘は元気でやっています。
 死ぬかと思った事は何度かありますが、ピンピンしています。
 お友達にも恵まれてますよ。
 萌えも需要と供給の釣り合いがとれていて…げふんげふん。まぁ、とにかく大丈夫です。

 が……


 監禁されています。






割別の鍵・EX
囚われの姫君・前編
〜出くわして、掴まれて、そして拉致られて〜






ギャース!!出せっ、ここから出しなさい!じゃないと窓から萌えについて大声で演説してやるー!」
『ダンダンダンッ!!!』


 ………しーん。
 握りこぶしでドアを思いっきり叩いても、物音一つ返ってこない。
 本気で窓から大演説開始しようかと思ったが、とりあえずそれじゃどんなに痛い事言ったって外の人に何か思われるのは自分だけだと気付いたからやめておく。

 背後に視線を遣れば、そこにはホテルのスイートルームのように華美且つ広々とした部屋が広がっている。
 天井からシャンデリア。ベッドは天蓋付き。加えて悪趣味だとしか言いようのない、果てしなく豪奢な装飾の数々。
 …しかしここはホテルなんかじゃない。


 王 宮 で す 。


 自分でもビックリだけど、私は王宮の一室に監禁されている状態。(いや、縛られてはいないけど)
 ちなみに現在ここにいるのは私一人だけ。
 ソラ達は……どこに連れて行かれたんだろう。



 事の発端は数時間前。
 私はソラ達と一緒にグミシップに乗ってこの世界に来て、この世界の鍵穴をキーブレードで閉じた。
 その後にちょっと探索してたら、人が沢山いる町に出た。

 で、お店が並ぶ大きな通りを歩いてたら、何やら向こうの方で大騒ぎしてるのを発見したので、野次馬精神働かせて突撃してみた。
 何でも、遠征中の王子様が戻ってきたんだとかで。 何たる偶然。

 王子が通過するのに合わせて街の人達が皆ひれ伏していく。(大名行列みたいだ)
 私達は呆気にとられながら、王子の帰還を他人事のように見ていた……ら、

 王子の付き人がこっちに(わざわざ)駆けつけて厳重に注意くらわせてきました。

 平民なのに地べたに伏さないのが駄目だった模様。
 んで、くどくどと説教されて、それがあまりにも長ったらしいもんだから王子が直々に「いい加減長いからやめろ」と付き人を宥めに来た……んだけど。

 付き人を宥めかけたのに、王子は私を見た瞬間に馬上で固まって、落っこちた挙句立ち上がった瞬間いきなり私の両手をわしっと握って次のように述べた。

「僕と結婚してくれ」


 ……数秒間の沈黙。
 何を言い出すかと思えば結婚ですか。しかも前触れなく。
 否応云々以前に私は固まった。

 すると王子は拒否しているのだと思ったらしく、無駄に並ぶ金歯をキラリと光らせて囁いた。

「僕と結婚すれば一生何不自由なく暮らせるぞ。綺麗なドレスや宝石なんて欲しいまま、食事だって超一流シェフに最高級の食材で作らせている。そして何より、こんな全くもって美しくない奴らと一緒にいるのはお前にも良くない」
「無駄にセレブオーラ漂わせてるアンタと一緒にいる方が良くない気がするけど」
「美しくなくて悪かったな!別に俺らは美しさとかそんなの気にして集まってるわけじゃないんだぞ!」
「勝手にを連れて行こうとするな!」
 ソラ達も一緒に反論してくれたけど、王子は右耳から左耳に言葉を直通させて更に続ける。

「何、心配する事はない。一目惚れだからといってお前への愛が冷める事は一生無いぞ、毎晩ベッドの上で愛を囁いてやる事を誓おう」
「待て、一生愛してくれるのは理想だけど今ナチュラルに怪しい言葉が聞こえたような
「ていうかさっさと妻になれ」
「結局は命令形かい!!」

 果てしなく怪しい金髪王子様
に一発ツッコミかまし、熱の篭りまくる両手を振り払うべく力任せに上下左右に動かした。
 しかし王子は思ったよりマジだった。
 どんなにブンブン振り回しても払えない。いや、何だか端から見てると「よろしくの握手」してるみたいだ。
 し…し・つ・こ・いっ!!!

「待てよ!は俺等の仲間なんだぞ!それに嫌がってるし。結婚なんてそんな――」
「そうですぞ王子!貴族でも何でもない、卑しい平民ごときに求婚なさるとは!」
「卑しい!?」
「どんなに卑しかろうともこの僕の目に留まったのだ、父上に直談判すればすぐに結婚とはゆかずとも婚約くらいは可能だろう。何、結婚もすぐに認めさせるがな!今こそ法を書き換える時だっ!!
「立法問題にまで発展!?」
「…仕方がありませんな、連れてゆきましょう」
「「いやアンタ止めろよ!!」」
「というわけで来るが良い!!」

 私+ソラでダブルツッコミしたけど、効果無し。
 ドナルドはひたすら何か喚いてるけど、言葉になってない。(怒ってるようには聞こえる)
 グーフィーは…ちょっとオロオロ。(可愛いなぁ)

 見かねたソラが王子の手を引き剥がそうとして、しかしそれはソラが引き剥がす前にあっさりと離れた。
 代わりに、ひらりと馬に乗った王子が私を抱え上げようとする。
「…って、いきなり馬上に引っ張り上げて2ケツさせようとすんなー!私はアンタみたいに傲慢なお偉いさんは苦手なんだぁっ」
 私は両手両脚を使ってジタバタと抵抗しまくる。

「なっ、王子に向かって傲慢とは何事だ!」
「傲慢じゃなきゃ何だっての!!大体平民に向かって『卑しい』なんて連呼していいと思ってんの?文句があるなら平民無しで永劫生活してみなさいよ、パンが無ければケーキを食べればいいのよ精神反対っ!そんな根性してる奴に誰がついていくもんですか!!」
「いいだろう」
「……………。…へ?」

 王子が何やら一人で承諾してるけど、私には何の事を指しているのか掴めない。
 私は暴れるのをやめて馬上の王子を見詰めて瞬きする。

「いいだろう、僕はこれから平民を悪くは言わない。それなら嫁に来てくれるな?」
 追加効果:エセサーファーのようににっこり笑ってキラリと光る金歯

 …ま、待て待て待てー!!!?

「嫁に行くとは一言もっ!!ていうか寿退職なんて冗談じゃない!私はソラ達と一緒にいるんだぁっ」
「よし、ではそやつらも連れて行くとするか。それならばいいだろう?」
「ギャース!泥沼!!あーっ、連行しようとすんな!やめれ、やめれーっ」
!!」
を放せっ」
「煩いな。…おい、手伝え!」
「ひぎゃぁっ!」
「うわっ、何するんだ!!」

 周囲に居た兵士達がいつの間にか団結して私を馬上に押し上げる。
 ソラ達は捕まった宇宙人のように左右からがっちりと兵士に掴まれ、最早逃げられない。
 街の人達は王子(の権力)を恐れているようで、こっちの味方をしようとしたりやめたりして、始終オロオロしてた。(それは市民である限り仕方ないんだろうな…)

 皆も私も最後まで抵抗を続けたけど、結局数には勝てず(仮にも悪意の無い一般人に武力行使するわけにはいかないし)、城へ連行されることと相成った。



 …で、ソラ達は城内の別の場所に連れて行かれて、私はこの部屋に。
 ちなみに城内に入った途端別ルートに別れてご案内されたもんだから、どこら辺に連れて行かれたのかすら全く分からない。

 おまけに『父上に話を通してくる』とか言い残して王子に去られた上、外側からドアに鍵かけられた日にゃあもう嘆くしかないっての。
 一体何がどうしてこうなったんだ。道歩いてて求婚されたとか、どうなんだ。
 しかもそれが王子でその後城に拉致監禁って何なのさ。


 けど、甘かったな。
 私は某土管工事のオッサン二人組みに救出される桃色ドレスのおいしそうな名前したお姫様じゃないんだよ!!!

 いつまでもこんな所で初監禁だ…なんて嘆いていられない。自分から抜け出す方法考えないと。
 ここであっさりくじけてたらそれこそ私はソラ達の足手纏いだ。

 よし、向こうから開けてくんないならこっちから開けるまで!
 私はドアから少し離れて、右手を突き出した。


「『ファイア』ッ!!!」



 ***



「俺…初めてこんな所に閉じ込められた…」
「そんなの僕もだよ」
「あひょっ、涼しいねぇ
「……ドナルド、俺たまにグーフィーの感覚が分からない」
 ソラが言うと、ドナルドは無言で一度だけこくりと頷いた。

 視界に広がるのは、石造りの壁。日の光は一切入らない。
 四角い部屋の中、一面だけは鉄格子によって構成されている。
 …それはそれは立派な………牢屋、だった。

 3人いっぺんに押し込まれたそこは多人数用であるらしく、随分と広い。
 鉄格子の前には兵士が一人。
 ここに来るまでに何度か階段を下りた事からすると、地下だろうか。

「…、大丈夫かなぁ」
 檻越しにこの空間の出口である扉を見詰めるグーフィー。
 ドナルドも同じようにそちらへ視線を向けながら、「うーん」と腕組みをした。
「結婚して欲しいみたいだから乱暴な事はしてないと思うけど……早くしないとあの王子様のお嫁さんになっちゃうかも…」
「その前に助けないとな…。、嫌がってたし」
「そうだね。それにはまず、ここから出なきゃ」

 3人は石の床に毛布を敷いて腰を下ろし、ここから脱出する方法を考える。
 檻の向こうにいる兵士は当然それを全て聞いている。

「…キーブレードが出せればこんな鍵なんて簡単に開けられたんだろうけどなぁ…。」
「今はがいないからねぇ」
「そういう意味でもを取り返さないといけないね。旅が続けられないよ…」

「おいお前ら、少しは静かにしろ。王子に邪魔者扱いをされて無事でいられただけでも有難いと思え」
 考えている途中に兵士の声が割り込んだ。
 それ自体には問題がなかったのだが、ソラはその言葉の内容にムッとした。

「それ、いつもは酷い事してるって事か?そんなのおかしいって!」
「僕もそう思う!それに国を治める王様の息子なんだから、もっと人を思いやる気持ちを持っててもいいじゃないか!」
「僕らの国に王子様はいないけど、王様は優しいよ」
 ソラが反論を始めると、ドナルドやグーフィーも自分の主の事を思い出して怒りを露にした。(例によってグーフィーは怒っているのか判別がしにくいが)

 しかし兵士は動揺すらせず、怒鳴り返す。
「黙れと言っているだろう!!」
 それと同時に、持っていた槍を牢の中に突き入れて3人を追い回した。
 格子越しである為、酷い攻撃はされなかったが、威嚇された3人は黙らざるを得なくなった。

 ……牢屋の中は、静けさに包まれた。
 兵士が元のように3人に背を向けて、「やれやれ」と呟く。

 仕方なく黙ったソラ達だったが、胸の内にはまだ怒りが燻っていた。



 ***



「ぎゃー!!いやああぁ!!!」
 私は絶叫しながら脱兎で逃げ惑っていた。
 それもそのはず、私の背後には兵士の団体が目をギラつかせながらダッシュで迫ってきてるんだから。

 ドア壊して部屋を出た途端、見張りの兵士が追っかけてきて、逃げてたら普通に通路を歩いてた兵士まで一緒になって私を捕まえにかかったからそりゃもう大変だ。
 大人数なんてモンじゃない。ヲトメ一人にどれだけ労力費やすつもりなんだ。
 貴様らは怪盗をとっ捕まえようとする警察軍団か。

 階段を上って下りて下りて通路の角を曲がって、もうメチャクチャに走ってる。
 時間にすればかなり短い間しか走ってないんだけど、自分が監禁されてた場所がどこだかすら分からなくなった。
 ソラ達を探したいけどそんな時間ありゃしない…!!
 しかも向こうの方が体力上だから、徐々に距離縮んできてるし。 ブリザド使って床を凍らせたりして何とか撹乱してるけど(普通に走ればあっという間に捕まるから)、最早追いつかれるのも時間の問題。

 助けて、ソラ……!


っ!」

 城の中心で助けを叫んだら(注:中心かどうか不明な上、叫んだのは心の中でだが)、ベタな映画のようにタイミング良く誰かが私の目の前に立ちはだかった!
 私は、名前を呼んでくれた事で兵士ではないと判断して、両手を広げて待ち構えているその人物に、助けを求めるべく突進する。
 まるでスー●ーマンみたいな展開だな。
 けどありがたい!助けてヘルプミーっ!!

 しかし、私は駆け寄るまでに、混乱する頭でその人物が誰であるかを判別して、思いっきり急ブレーキをかけた。


「ぬああぁっ!!?おおお王子ぃっ!!」
 たたらを踏みつつ何とか両手広げて私を抱きとめる準備万端な彼の3メートルくらい前で止まった。

「何だ、僕の腕の中に飛び込んできてはくれないのか。部屋へ迎えに行く前に赤い糸によって引き合わされたというのに」
「誰がそんな愛してるわマイダーリンv な行為を監禁犯にかますか。っていうか名前教えた覚えは無いんだけど」
にくっついていた下等生物共が町で呼んでいたではないか」
「今ソラ達のことを何て言った貴様・・・」

 私は「聞いて覚えただけかい!」とかいうツッコミの前に殺意が湧きました。
 まかり間違っても言っちゃいけない言葉が聞こえた気がするよ?
 後ろからどころか、正面から刺殺されても文句言えないような事が聞こえた気がするよ?

 心の中に般若を召喚しつつ王子を睨み上げるが、王子は気にした風でもなくさらりと応じた。
「ああ、平民を悪く言わないのが約束だったな。では、従者と言っておこう」
「どこをどう見たら家来に見えるのか私には理解不能なのだけど、とりあえずアンタのドタマかち割りたいのは確かだわ」
「ははは、は元気だな。さて、父上にお前の姿を披露するぞ。こっちへ来い」
 脳内快晴な王子様がどこまで私の言う事を解読したのかはわからないけど、大事な部分を見事スルーして自分の用事だけ告げたのは分かった。

 くるりとマントはためかせつつ後ろを向いて私を誘導しようとする自己中王子。
 ちなみに今気付いたけど、私の背後に迫ってきていた兵士達はいつの間にか直立して整列している。(王子の前だからか)
 兵士が追ってこないのを確認してから、「来い」と背を向け歩き始めた王子を反射的に追っかけようとして……

「……ちょっと待て。披露とな?
「そうだ。婚約及び婚姻を許可して貰う為にも、父上とお前の面会は欠かせない。僕との薔薇色未来の為にっ!!」
「私にはドライフラワー級に枯れた未来しか見えんのですが」
「王子である僕が直々にお前を呼びに来たのだ、お前と長時間離れたくないからな!ははは、恥ずかしがる事はない。さあいざ行かん!」
「だあぁちょっと待てええぇー!!」

 人の話を聞いていたり聞いていなかったり果てしなく都合のいい王子だなコイツ!!

 王子は行く気がない私をがっちり掴んで引きずるようにして歩きだした。
 ついでに「お前達は持ち場へ戻るがいい」と兵士を追い返して。


「ちょっ、や、私本当に結婚とか婚約とかするつもりないからっ!!」
「恥ずかしがる事はない、と言っただろう?」
「うっさい、誰が恥らうか!ソラとドナルドとグーフィーはどこにやったの?」
 引きずられるままではバランス崩して倒れそうだったので、王子の歩調に合わせて歩きながら尋ねた。
 一体どこに隠したんだろう。
 まさか私同様どこかの部屋に監禁されてるなんて事は………

「従者の事など、どうでもいいだろう。は僕の事さえ考えていればそれでいい」
「アホか!しかも従者じゃない!主従関係ナッスィン!!」

 かつり、こつり、白い石床に二人分の足音が反響する。
 …何の石で出来てるんだろうか。隅から隅まで高級そうなものでできてるなこの城。
 閉じられた窓からは日の光が入ってきて、どこまでも清々しい。
 しかしこの場の雰囲気は私にとって清々しいわけがない。
 この勘違い王子め…っ

「主従関係でないと言うなら何なのだ?うるさいだけではないか」
「そりゃアンタにとってはね。…って、話逸らさないで!あの3人はどこにいるの?今すぐ会わせなさい!」
「今から会うのは僕の父上だ。あの3人ではない」
「いーやーでーすーっ」

 かかとで力一杯ブレーキかけて王子の横行を阻止しようと試みたが、王子はそれを上回る力で私の腕を引いた。
 私をずるずる引きずりながら歩く。(丁度水上スキーみたいな体勢)
 うくっ、強引な…!

「あの3人は私の大切な人なんだからねっ!早く返してよ!!」
 王子の手を綱引きの如く更に引っ張ってみようかと思ったけど、それを実行する前に今度は王子がぴたりと足を止めた。
 そのせいで今度は私が倒れそうになる。
「うぅわっ!!」

 しかし王子がぐっと引っ張ってくれたお蔭で体勢を立て直した。…ちょっと腕痛いけど。
 で、そのまま流れるような動きで王子は私の肩をドンッと勢い良く近くの壁に押し付けた。

「いったぁ……ちょっとっ」
「なぜだっ」
「え…」

 …王子、距離が近くありませんか?
 私の肩を壁に押し付けつつもう一方の手を私の顔の横について、完全に獲物を捕らえた動物な感じだ。

「何するの、どいてよ」
「あんな見るからにアホ面した連中の方が気になるとはどういうことだ!奴らより僕の方が何もかも上に決まっている。ではなぜお前は他の男を見ようとする?」
「いやいやいや、私にはアンタの脳がどういう構造してるかの方が気になるよ」
「…そうか、わざと僕の気を引こうとしているのだな。そうなんだな?愛い奴めv 確認するまでもなく僕はお前を愛しているぞ。どうしても信じられないのならば、今ここでお前を愛している証を贈ろうではないかっ」
「うわああぁん!こいつ勘違い訂正させてくれないよー!…って、証?」

 王子を見上げつつ首を傾げたら、突然肩を引っ張られて私は王子の腕の中にゴールイン。
 んでもって片腕を腰に回された。
 う、うわわわ、男の人に抱き寄せられた…!(こういう事に免疫無いんですけどっ)
 抵抗しなきゃ。何だかヤヴァい方向に向かってる気がする…!!

「さあ、我が愛を受け取るが良い…v」
「へ?う、あ、えええぁああ!!ぎゃあああ!!!」

 お、王子の顔が迫ってくる!!しかもタコの如く口をきゅーっと突き出してるんですが!!
 すいませんこれはもしかしなくともキッスを迫られてますか!!?
 ヤヴァい、両手で押し返しても全然びくともしないよこの人っ!
 しかも頭を固定されて更なる窮地に立たされる始末。
 ファーストキスの相手がこんな奴だなんて嫌だぁっ!!

 だだだ駄目だ、もう視界一杯に王子が!
 金髪で平凡な顔した王子が!!
 タコチューな王子が!!!

 横っ面を殴り飛ばそうかとも考えたが、それじゃ押し返す手を最低片方は離さないと駄目だし、今の勢いじゃ離した隙にぶちゅーっとやられそうだ。
 精一杯押し返しながら、けれど確実に間を詰められて、私はぎゅっと目を閉じた。
 もう寧ろこの王子のアップに耐えかねた。

 覚悟を決めるしかないのか…!
 さようなら私のファーストキッス…!!





〜To be continued〜






<アトガキ。>

お待たせしました…!!本当にお待たせしました。すいません。
まだこのサイトを見ていらっしゃるかどうか分かりませんが、霧間ミスト様のリクエストです。
サイト1周年記念の企画でリクエストを引き受けました。

「連載主人公で、ソラ相手。ギャグ+少し甘」との事で、ギャグ入れつつほのぼの小話でも書こうかな、とか考えていたら……見事に違う方面の話がぽんぽん思い浮かびまして。
小ストーリーになってしまいました。(しかも前後編)
ちなみにサブタイトルのあれは、アレです(何)
ちょっと渋かったですか。若い人には分からないネタやも…(おおーい)

リクエスト番外なのに長ったらしくてすいません…!;
しかも甘くないですね。王子出張ってますね。ギャグだらけですね。 orz
後編はもうちょっと甘くなるかと…ていうかソラ達が出てくるかと。
何だか、「ギャグ+少し甘がメイン」でなく「ギャグと甘をバラバラに捻じ込んだ」という感じになってしまいそうですが…あわわわごめんなさい。
もう少しお付き合い願います…。では。

2006.08.14