「やはりキーブレードを持つ者といえど、まだガキだな。しかもてんで弱い。ま、あんなどでかいハートレス相手じゃ戦うのも無理ってもんだが」
「当然だな」
暗い、闇の底のような部屋の中。
その者達は、テーブルを囲んでその中央に灯された光を見ていた。
テーブルの上の陣の中に浮かぶその不気味な緑の光には、
1人の少年、1人の騎士隊長、1人の王宮魔道士、そして
1人の少女が、立体映像として写っていた。
「それに付け加え一緒にいるのが間抜け面した2人組ときた。あんなふざけた奴らでも“王”の家来らしいが」
「小娘も1人混じってるな」
「いや…あの娘、中々…」
「…お前そんな趣味があるのか?」
「そんな訳があるか。それに間抜け面ならお前だって負けていないぞ」
「何だと!?」
「おやめ」
口論になりかけた2人の間に割って入ったのは、黒い、闇を纏ったかのような魔女。
緑の宝玉をあしらった杖を片手にその空間を歩き、映像へと近づいた。
そして、口角を上げる。
「キーブレードを持つ者と、その存在を保つ片割れ―――
闇の扉を切り開くか、それとも……闇の深さに飲み込まれるか…」
魔女は、笑みを深めた。
「どちらに転んでも利用価値はあるさ」
口論をしかけた2名を含め、その場の全員が再度映像へ視線を戻した。
割別の鍵・04
片割れ
〜現状把握〜
「―――っ…」
唐突に。
私の意識は、色を取り戻した。
「ぁ…れ…?」
私は視線を巡らせる。…どこ、ここ。
見たことある気がするんだけどなぁ??
私の部屋はもっと狭かったような……
…って、あたしゃKHの世界に来てたはずだよ。
「気がついた!!!」
「おーいレオンっ!目、覚ましたみたいだよ!!」
すぐ近くから声がした。
私が寝てるのがベッドとして、その脇くらいから。
ベッド…ここ、宿屋なのか。
道理で色が派手だと思った…。「赤の間」なんだな。部屋が赤で統一されてて目が痛い。
しかもレオンって…
・・・・・。
レオン?
「!!!!!?」
私は跳ね起きた。
今聞こえた声は、ドナルドともう一つ――FFのユフィ!!
ユフィと、同じくFFキャラのレオンは一緒に登場するはずだよね。
どこだ美形レオンー!!!
私はめさめさ萌え心燃やしながらレオンを探す。
ベッドの端に座ってるユフィ発見!
黒の短髪、短ズボン!!すらっとした体のラインがたまりませんv(変態)
あと部屋にいるのは、私が起きたと騒いでるドナルドに、相変わらずのほんとしてるグーフィー。
あれれ?レオンとソラは?
「大丈夫?」
グーフィーが犬のくせに猫背な姿勢して私を窺う。
「んぁー…頭痛い…かも?」
殴られた後頭部が妙にズキズキする。
くそ、結構強くやられたか…。
頭は1回叩いたら脳細胞かなり減るのよ!!!もう!!
そこんとこ分かってるのかしら!(分かってたまるか)
「君、もう少しで心を奪われる所だったんだよ」
ユフィが落ち着き払った声音で言う。
…ユフィって見た目からおてんばな感じするけどいつも冷静なんだよねぇ…。
KHで初めてキャラ知ったからよく知らないんだけど。
「え…心を?」
「そ。ハートレスは心を糧にするんだよ」
あぁー、気絶させられた時点で心…ハートが取られそうになってたのな。
取られたら死ぬのか?それともハートがなくなるからハートレスになるとか?
・・・微妙ー。
「でもそれでなんで私は大丈夫なの?」
「そこの2人が頑張ったみたい」
視線でドナルド&グーフィーを示すユフィ。
…あれ?ソラは含まないの?
「男の子の方は君が気絶してすぐ敵にやられたらしいよ。今は隣の部屋に寝かせてある」
ユフィは私の表情に気付いたのか、隣の部屋に繋がるドアを指差して説明してくれた。
え・・・、
私が気絶してすぐ?
そんなにレベルなくてもあのボスは倒せた気がするんだけど…
「鍵が消えたんだ」
「それで攻撃された」
ドナルドとグーフィーが言った。
やっぱし聞き取りにくいわ、ドナルドの声。
…って、問題はそこじゃなくて。
「消えた!?」
キーブレードが?何で!
『カチャ…』
そこで隣の部屋へのドアが開けられ、誰かが入ってきた。
入ってきたのは、
「ソラ!レオン!!」
私は目を輝かせて名を呼んだ。
わーい、レオンだレオンだvv
KHの美形様その1!!(その1言うな)
が、
「……!俺の名も知っているのか…」
すぐに眉間にしわを寄せた。
しまったぁ!またやっちまったぁ!!
俺の名も、と言った所を見ると、どうやらドナルドやらグーフィーやらソラに聞いたらしい。
てことはやっぱし全員にバレてるわけで・・・
「…あの、私・・・別に怪しい者じゃないですよ?」
白々しいこと抜かしてみました。
「名前知ってる時点で十分怪しいって…」
弱々しく言うソラを、私は手でベッドをポンポンと叩いてそこに座るように誘導した。
ソラはふらつきながらこちらに歩み寄り、ベッドの端に腰を下ろした。
「大丈夫?ソラ…」
「あんま大丈夫じゃないけど、最後にグーフィーが盾で守ってくれなかったらもっとヤバかった」
「え?グーフィーが?」
「…キーブレードが消えた」
「それは知ってる」
「あのでっかいのから攻撃受けて、とどめをさされる直前にグーフィーが。」
「おぉー。グーフィー凄い!!」
拍手してみると、グーフィーは「あひょっ」とかいって照れたように後ろ頭を掻く。
・・・か、かわいい・・・(ぇ)
「それにしても顔色悪いね。本当に大丈夫?」
「んー…。」
「ドナルドに回復してもらえばいいのに」
「魔法の使いすぎでもう無理・・・」
横からドナルドが言って、溜息をついた。
・・・そりゃあんだけ魔法使ってりゃMP尽きもするわ。
「一緒にベッド入る?少しでも楽にして・・・」
「狽「っ、いいよ!!」
慌てて首を左右に振るソラ。
…何さ、そんなに嫌がらなくてもいいじゃん。
「本題に入っていいか?」
レオンが壁に寄りかかって無表情に割り入る。
クールですハイ。
「どうぞ」と告げると、レオンは話し始めた。
***
約10分後。
私達はハートレスの事とかアンセムさんの事とか色々説明を聞いた。
勿論私はゲームで聞いたんだけど、改めて生で聞くとまた違った感じがする。
本人に聞くのが一番ってことですかね!!(何か違う)
話を要約すると、
1.アンセムっていう人がハートレスの研究レポートを書いている
2.現在「空から星が消える」という怪奇現象が起きているが(ドナルドとグーフィーから聞いた)、それとハートレスの関係を考えたかもしれない王様(=ミッキー?)はアンセムの書いたレポートを探しているかもしれない。
3.レポートはあちこちの世界に散らばっている
4.王様を探しているドナルドとグーフィーにとっては、レポートを追うことが王様探しのヒントになるかもしれない。
5.てなことで、色々な世界を飛び回りましょう!
…ということ。
何だか「かもしれない」が多い気もするが、そこの所は気にしないでおこう…。
ソラはもとより友達(=リクとカイリ)を探しているので、移動手段としてグーフィーとドナルドについてゆく事に。
…ドナルドは初めからソラを引き込む気満々だったが。
王様に「鍵を持つ者と行動を共にしろ」とか言われてるもんね。
さっき話されたことを、順を追って脳内整理してみた。
そして、
「・・・・・・・あれ?」
私は少々違和感を感じた。
キーブレードの説明が無い!!
レオンから結構説明されるはずなのに!
「ん?どうした?」
「え、いや…」
ソラが私の表情を見て訊いてきたが、言えなかった。
言っちゃったらまた怪しまれそうで恐い。
何とか話をそらしてみよう。
「…そういえば私、名乗ってなかったね。私は 。『』って呼んで」
「あ、こっち側が名前知られてるからほんとにすっかり忘れてたね。私はユフィ」
笑顔プラスして名乗ってくれるユフィ。
うわぁぁっ!!!笑顔が眩しいよ!!
「今更名乗る必要もなさそうだが…」
「駄目だよスコ「レオンと呼べ」…レオン。礼儀として言っとかなきゃ」
今、何気にユフィの言葉遮りましたねレオンさん。
何でFFの時みたいに「スコール」って名乗らないんだろう?
「…レオンだ。」
眉根を寄せながら名乗るレオン。
…私が信用ならないからなんだろうな。
初対面で名前知ってりゃ当然か。
「僕はドナルド。こっちがグーフィー」
「俺はソラ。…けど何で名前知ってたんだ?」
言ってから首傾げて尋ねるソラ。
…蒸し返さないで下さい。
隠しきれる自身が全くありませんよう!!(泣き縋り)
「んーと…どう言ったらいいのかなぁ…。」
細かに言うつもりはないけど。
こちらから見たら私以外のこの場にいる全員はゲーム世界の人間だと、言うつもりはない。
信じてもらえないだろうっていうのもあるけど。
「・・・・・ま、秘密ってことで♪」
「秘密って・・・。」
明らかに呆れてますねぇ。
でもしょうがないよ。
「…あ」
唐突にドナルドが声を上げる。
「どうしたの?」
「そういえば鍵は何で突然消えたんだろう?」
「あ、そういえばそんなことも・・・」
ドナルドの疑問でその場の全員の視線がソラに向く。
「まだ出せないの?キーブレード」
「んー………んんっ?」
ソラが確認するように右手をじっと見つめると、突如閃光が私達の目を焼く。
光がおさまったのを瞼の裏で確かめ、目を開くと。
「!!」
「えぇっ」
レオン、ユフィを除いて動揺する私達。
ソラの手には、銀に光るキーブレード。
「何で…?」
私が呟くと、レオンが壁から背を離して歩いてきた。
・・・レオンの身長の高さ萌え!!
身長高い男の人ってカッコイイです!
肩幅とか広いの見てると凄くドキドキしますですハイ。(末期)
「お前の意識があるからだ」
唐突に言われてはっとする私。
・・・しまった、萌えに浸りすぎていた。
「私の、意識?」
「そうだ。…キーブレードは心を見て持ち主を選ぶ。そしてソラが選ばれた。…が、何らかの形でソラの心が欠けてしまったのだろう、一部がお前の心の中に入り込んでしまっている」
「・・・・・・。え?」
「何、どういうことだよ?」
私とソラは、同時に疑問符を浮かべる。
「…の心に、ソラの心の一部が入り込んでいる、と言ったんだ」
レオンは、私とソラを見比べながら言った。
そしてユフィがその後ろから口を開く。
「それで、『キーブレードを発現させる力』だけちゃんに渡っちゃったってこと」
…どうでもいいけど何でそこまで知ってるんだこの2人
「……って、それはよもや…」
「そ。ちゃんの心が内に隠れる…つまり、ちゃんが気絶したりするとキーブレードは具現化できない。勿論距離を置きすぎても駄目ね」
「うっそ」
私は耳を疑った。
疑ってもどうしようもないんだけど。
大変なことになりましたお母さーん!!!(何)
ていうかそれってもしかして…
「じゃ、これからも連れて行かなきゃ駄目ってこと?」
それまで黙っていたグーフィーが私の思っていたことを代弁した。
ナイス!(ぇ)
「鍵が必要ならそういうことになるだろうな」
すっぱりと言い切りましたよレオンさん。
マジですか・・・
「」
「え?」
私はドナルドに呼ばれて視線を向ける。
…ベッドに座ってると目線がほぼ同じですな。
「僕らと一緒に旅に出よう!!」
「あー…。・・・・・・・・って、ええぇ!?」
唐突!!!
ていうかそんなこと言われたら私帰れないじゃん!!
「もしかして帰らないといけないとか?」
「う、うん」
ドナルドの問いに、素直に頷いた。
だってここに来れたのも嬉しいけど、私には私の生活があるわけで。
日常をストップさせて放り出して、ここにいるわけにも行かない。
元の世界と行き来できれば一番いいんだけどなぁ…
…そこで、ふと気付く。
・・・・・私って帰れるの?
「……あの、すいませーん…」
私は小さく挙手して発言。
「さっきの話(説明時)から世界と世界を渡ることができるのは分かったんだけど、それって私の世界にも寄れる?」
「え?もしかして帰れないの?」
「んー。多分今の所」
「じゃあ行けるかもしれないから聞くけど、のいた世界の名前は?」
「・・・うーん?」
世界に名前なんぞなかったからわかんないなぁ。
「…地球」
「「「「「チキュウ??」」」」」
うわぁ私以外の声揃いましたよハニー。(誰)
やっぱり星の名前言ったのは悪かったのか?
でも世界の名前って言われるとだなぁ。
「・・・・・うーん・・・やっぱ駄目?」
「で、でも・・・旅をしていれば見つかるかも!」
必死のドナルド。
確かそうやってソラも引き込んだような・・・?
でもドナルド達と旅をする以外に帰れる可能性はなさそうだ。
結局すぐには帰れそうにないけど、唯一世界と世界の間を航行できる船を持っているのだから。
…かけるしかないかな。
まぁ、ここで萌えを簡単に手放すほど私は人間出来ちゃいないけどね!!(出来てろよ)
ソラ達と旅できるなんて思ってもみない幸運v
多分普通の人が「連れて行って」とか言っても拒否してただろうしね。
普通の旅じゃないし。
「…うん、行く。旅についてくよ」
「やった!」
「それなら、早速旅の支度にかからないとね」
嬉しそうにしている約2名を尻目に、私は体に不具合がないかを確かめる。
…んー、ちょっと首が痛いかな?
加えて微妙に頭クラクラするけど、それ以外は完全に健康だ。
よし、オールオッケ。
ソラは大丈夫かな?
私はソラを見た。
……なんかまだお腹とか背中とか痛そうにしてるけど、これで出発できるのかどうか。
「ソラは大丈夫なの?」
「んー、大したことないし大丈夫」
「ほんとに?」
「本当に!」
女である私に幾度も言われてむっとしたのか、少し頬を膨らませて返答するソラ。
いや、可愛いですから。
寧ろ腐女子である私を誘っているようにしか見えませんよ!!?
ほっぺたぷにぷにしたくなる衝動を必死に抑えて、私は「そっか」と答えた。
うああぁ、そのモチ肌触りたいよ!!!(禁断症状)
「それじゃ、私達とはここで一旦お別れだね」
ユフィが、かがんで私と視線を合わせる。
・・・あぁ、もう少し一緒にいて女同士の友情を開花させたかった・・・。(ぇ)
てことはレオンともお別れですね。
うぅ・・・。
萌え源が・・・(何)
でも実際、ついてきてくれてた方が戦力的にもいいはずなんだけどなぁ。
…船が定員オーバーになるからかな?
ちょっと見た目小さそうだったし。
「歩けるか?」
レオンが私に右手を差し出した。
・・・・・・・
・・・これって、
「…おい、」
一向に反応を返さない私に、レオンは眉を寄せる。
も、もしかして…
「つかまって起きろ」ってことですか!!!?
う、嬉しい!!!
限りなく嬉しい!!!
さっきまで警戒してそっけなかったのに(素でそうだった気もするが)、まさかこんな行動に出てくださるとは!!
感動だ!!
私は我ながら妙な所で感動しているなぁとか思いつつ、レオンの右手を握った。
あぁっ、この大きさが何とも・・・っ!!
握りきれない辺りが激しく萌えです!!!
手握ったままじっとしているのもおかしいので、私はベッドから足を下ろし、力を込めて立つ。
ちょっと引っ張ったくらいじゃ全く動かないレオンさん、凄い。
男の人だなぁ…(妙に実感)
振り返ると、ソラはユフィに同じ事をされていたが、男の意地故か断っていた。
んふふー、結構意地っ張りですソラv
「事態は一刻を争う。急げ」
レオンの言葉に、私はまだ少しだけぼんやりしている頭を両手でぺしんと叩き、頷いた。
「出発!」
意気揚々と部屋を出て行くドナルドの後に、グーフィーと私、そしてソラは続く。
〜To be continued〜
<アトガキ。>
やっぱし中途半端な所で終わってますねKH夢。
でもこれでようやく旅に出られます!
相も変わらず説明くさい文でしたがどうなのでしょう・・・(汗)
なるべく萌えも詰め込んでみたのですけど。
いえ、レオン贔屓にしてるわけじゃ…っ
萌え故です!!(何)
次回は恐らくグミシップに乗るまでの話かと。
ソラの心が欠けた理由も明かされる…はず。(ぇ)
進度遅くてすいません・・・(滝汗)
それではまた。
2005.1.23