「あぁっ!?」
「女の子が!!!」
「大変だぁ」
約1名随分とのんびりした言い方です。
そこがいいんだけど、今は早く下ろして!!
私を掴んだまま素早く浮遊を続ける巨大ハートレス(の右手)。
あぁ、何だか乗り物酔いが・・・(ぇ)
コーヒーカップより凄いよコレ。
あたしゃ三半規管弱いんですよ!!
ていうか次第に握る力が強まってきてます。
つ、潰される!!
割別の鍵・03
作戦
〜鍵と私〜
「今助ける!!」
ソラがダッシュしてこっちに向かってきた。
・・・って、
「武器持ってないのにどうするつもりだぁー!!!」
「えぇ?狽ぁ!!!」
私の叫びに途中で気付いたようだが、最早時遅し。
巨大ハートレスもとい「ガードアーマー」は、足だけでダッシュしてきてソラを踏み潰しにかかった。
「うわぁっ!!!」
身構えるソラ。そして、
『ガキンッ!!』
それをはじいたのは、グーフィーだった。
勿論盾で、である。(どれだけ腕力あるんだろう・・・)
「大丈夫?」
「あ、ありがと…」
さすが騎士隊長。
肩書きは伊達ではなかったらしい。
私は握り潰される感覚に眉を寄せながら、空中で3人を観察。
握られるのは確かに苦しいが、今の所何とか限界は免れている。
肺の部分からちょっとずれた所を握られてるから、というのもあるかもしれない。
「君は下がってて!!」
ドナルドがソラに言って(っつか命令して)、私を握っているガードアーマーの右手へ走ってくる。
そして杖を掲げ…
「・・・って、魔法は撃たないでよ!?私まで巻き込まれるから!!!」
「あ。」
途端にはっとした表情になるドナルド。
…このアヒル、今絶対魔法使おうとしてたな・・・!!
と、その時。
ドナルドの後ろからガードアーマーの左手がうなりを上げて飛んでくる!!
「ドナルド!!後ろ!!」
叫ぶが早いか、それは振り返った直後のドナルドの頭へと見事命中してしまった。
ドナルドは数メートルふっ飛んだ。
「ドナルドぉっ!!」
ここから見ているから分かるのだが、ソラは庇おうとして間に合わず、グーフィーは他のパーツを食い止めるのにかなり苦戦していた。
私が捕まってなければ少なくともこんなに悪くはならなかっただろうこの事態に、唇を噛む。
「いたたた…」
起き上がるドナルド。(大丈夫なの?)
私は攻撃が飛んでこないかハラハラしながら見ていた。
「ドナルド、私は後回しでいいから!グーフィーに加勢して!!」
「駄目だよ!危険だよ!!」
「シャラーップ!!死にたくないでしょ!!」
ここで死なれたらコンティニューできるか微妙である。
…ていうか、望み薄。
ゲーム画面じゃないもんなぁ。
いや、ゲーム画面だったらどれだけ楽か。
「!!ドナルドっ!攻撃が来る!!」
「大丈夫!」
「違う!二方向から!!」
後ろと上。
後ろからの攻撃には反応できているが、上には対応しきれていない。
やられる!!
と、その時。
「危ないッ!!!」
「!!?」
私は我が目を疑った。
ドナルドを助けるべく動いたのは、他の誰でもないソラだった。
私は反射的に目を閉じた。
攻撃手段も防御手段も持たないソラが割って入った所で、どうなるかはわかっていたからだ。
―――が、しかし。
『ガキィンッ!!!』
聞こえたのは金属音。
またグーフィーが?と思いつつ見てみると、
「え…?」
「あれ…っ」
ソラは、キーブレードでガードアーマーの左手を受け止めていた。
「鍵だぁ!?」
「あっひょ!鍵だぁ!!」
驚いたようにソラの鍵――キーブレードを見る2名。
…って、敵そっちのけで驚いていいのか?
「余所見しちゃだめ!!攻撃が来るよ!」
私が精一杯叫ぶと、ようやく皆我に返って戦いに集中。
…ソラは未だに手の中のキーブレードを不思議そうに見ていたが。
しかしなぜ突然出たんだ?
実は「出ない」と思い込んでただけで実は大丈夫だったとか…
うーん、謎・・・。
グーフィーはガードアーマーの胴体中心に攻撃再開、ドナルドはグーフィーに加勢、ソラは私の救助に回った。
いや、だから私は後回しでいいって言ってるのに。
「ソラ!私は後回しでいいってば!!」
「だから、そんなことできるわけないだろ!!!」
「アフォ!!少しは協力してこい!!グーフィーなんて盾で敵どついてるんだよ!!」
「狽、そぉ!!?」
慌てて振り返るソラ。
…ちょっと待て、今まで何処見てたんだ…。
「ていうか余所見しちゃ駄目だってば!!」
「!!」
飛んできた左手をすんでの所で受け止め、弾き返すソラ。
うーん、ガードアーマーって軽いのか?
「…うっ、」
私は思わず呻いた。
私の体を握るガードアーマーの右手が、握る力を一気に強めてきたのだ。
……やっぱ潰れ死にってありうるかもしんない…。(今更)
内臓が押し込められていくような感覚。
肺が自然に縮められ、一度に吸える酸素の量が一気に少なくなった。
「だ・・・だぢげで・・・っ」
最早引きつった顔しかできない私は、かなり必死に助けを求める。
…自分で言っといて何だが、後に回されなかったことに礼を言いたい。
「今助ける!!」
そう言ったソラが高くジャンプ!!
・・・が、
『ひょい』
「狽ヲ!?」
急に私を握った右手の位置を高く上げられて(まるで「やっぱあーげない♪」とか言ってる奴のようだ)、行く宛てのなくなった攻撃は空振り、ソラはそのまま落下。
「うわぁっ!!」
尻もちをついたソラを、私はどっちかっていうと…眺める暇がなかったよ畜生。(ぇ)
何と言っても握られているのがネックだ。
苦しい。さすがに苦しい。
酸欠っていうより、内容物どころか内臓が捻り出されそうな状態である。
あぁ、早く助けてプリーズ・・・
これじゃ本当に死・・・
・・・・・。
私が死んだら離してくれるのかな?
途端、私は頭上に電球を浮かべた。(ぴーん)
そして苦しさに身を任せ、だらりと頭を垂れさせる。
全身の力を抜いた状態で、私は目を閉じた。
これぞ必殺!死んだフリ。
さぁとっとと離したまえ!!
「!!どうした!!!?」
ソラが慌てた声で叫んできた。
・・・あ、心配かけちまった。
けどこれは敵を欺くための罠!今ここで目を開けるわけには…
「なぁっ、どうしたんだよ!!?」
「何かあったのー?」
「あの女の子が!!」
「狽ヲぇっ!!!?」
・・・・・。
何だか大変なことになってる?
あぁ、そんなつもりじゃ・・・(滝汗)
だってだって!!!さっさと離してほしかったんだもん!!!
つか、本当にヤバくなってきた。
意識が薄らぐ…。
刹那、
『ブンッ!』
妙に加速のついた体。
急に呼吸量の多くなった肺。
・・・・・。・・・って、
ぶん投げられてるー!!?
私は朦朧としかかったその頭で正確な判断を下すことができず、重力に従ってそのまま弧を描いて落下。
しどいよ!!締めるだけ締めて殺して(生きてるけど)用が済みゃポイか!!
私はジュース飲んだ後の空き缶じゃない。
助けてぇー!!!
焦るのも束の間、私はぐんぐん地面に近づいていった。
目まぐるしく変わる景色。
そして、
『ドサァッ!!!』
「わぁっ!!」
「みぎゃっ!!」
落下終了。
思ったより衝撃はなかった。
…っていうより、今の声・・・
「ソラ!!」
「いっててて…大丈夫か?どこも怪我してないか!?」
どうやら、ソラを下敷きもとい押し倒していたようですワタクシ。
彼はまだ心配してくれてる模様。萌え!!!(をい)
「ていうかソラこそ大丈夫なの?」
「これくらい何ともないって。それよりさっき…」
「さっきのは死んだフリだから大丈夫。…ちょっと本当に死に掛けたけど」
「煤I!」
まぁ結果的に生きてたからオールオッケ。
私はソラから降りてガードアーマーの様子を見る。
へっへーんだ、ざまぁみろ!!私は生きてるぞ!!
「さ、ソラ!早く参戦しないと」
「そういえば何で俺の名前知ってるんだ?」
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
し ま っ た 。
つい呼んじまった!!これじゃ私は不審者だ!!
そういやグーフィーもドナルドも呼んだ気がする…。
後でバレたら3人いっぺんに詰め寄って来そうである。
どうしよう…!!
「あ、あの、ね…?」
私が焦っていると、
「大丈夫ー!!?」
「今ケアル(回復)を!!」
…約2名、焦りつつ駆け寄ってきました。
それによって話は中断、そして攻撃目標が全てこちらに来たのでガードアーマーは一斉に向かってきた。
「回復はいいから!後ろ後ろ!!!」
どうやらさっきから戦ってたおかげでガードアーマーの両足は倒せてるようだけど(見当たらないから消滅したんだろう)、その他は全て丸ごと残っている。(胴体はHP高いからなぁ)
私は反射的に逃げの準備をして、ソラたちは勢いよくガードアーマーに向かっていった。
こうなると私は用なし、ていうか寧ろ邪魔である。
1番街に戻った方がいいのか?
けどソラたちの戦闘シーンを生で見るなんてそうそうない経験だ。もう少し見学しとこう。(いいのか?)
私は10mくらい離れて眺める。
わーい、部外者だv
…悲し……。
もっとあの中に入ってみたいのになぁ。……戦闘能力持たない私には無理な話だ。
あ、ソラその間合いじゃ届かない!ドナルド、魔法使いすぎ!グーフィー盾より顔のが前に出てる!!
・・・・・・。
・・・虚しい・・・。
こんなことなら空手とか習っとくんだった…。
・・・・・・ガードアーマーには効きそうもないが。(鉄だし)
「てやぁっ!!」
ソラがキーブレードを一薙ぎすると、さっきまで私を握っていた憎き右手は弾けるように消滅した。
ドナルドの魔法で傷を回復させつつ戦う3名。
グーフィーも盾ぶん回して戦闘中。
・・・・・、私がコントローラー握るよりうまく戦闘するなぁー。
まぁ、生身だから(生言うな)ちゃんと考えてるんだしねー。
あー、今まで思考を持った人達だとは考えてなかった。所詮私が見てきていたのはキャラクター。
ゲーム画面で見るだけの存在だったのに。
これが夢だったら怒る。確実に怒る。
けど、現実だと確信した所でどうにもならない。
ガードアーマーの左手がこちらに向かおうとした所を、ドナルドが杖で攻撃。
それが決め手となってその左手は消滅した。
「とどめだぁっ!!!」
いよいよ胴体のみになったガードアーマーに切りかかったソラ。
が、私は忘れていた。
『ドッ!』
「!!?」
後ろから、強い衝撃を感じた。
…そう、このボス戦では普通のハートレスも数匹一緒に出現するのだった。
それがなんで今更出てくるのか少々疑問ではあったが(戦闘開始直後に出とけよ!!)、とにかくそれを考える時間は私にはなかった。
数度に渡る攻撃により、私の意識は遠のいた。
そんな簡単に、とか思うかもしれないが、ハートレスの攻撃は狙ったように頭やら首に集中していたのだ。どうにもならない。
「ぅ……っ」
私は、息の詰まりそうな苦しさを覚えながら、目を閉じた。
視界の端に、姿の薄らいだキーブレードを見た気がした。
「うわっ!!!?」
突如キーブレードが消失した事によってガードアーマーに不意を突かれたソラは、その体に強い打撃を受けた。
身体が傾いだ瞬間、ガードアーマーはとどめを刺しにその胴を振り下ろし―――、
〜To be continued〜
<アトガキ。>
妙な所で終わりました、KHドリ。
この夢、とことん表現の甘さがかなり表に出てくるブツですね…。
えぇ、一生懸命書きますとも。理解できるように…(目標低っ!)
…あれ?
名前変換が一度もされていないような…(!!)
ごめんなさい様、次は必ず名前出すんで!!
次回恐らくキーブレード消失の謎が解ける…か、な?(何)
某FFキャラ辺りも登場するかと。
それではまた次の話で。
2005.1.15