『鍵』を
君は、『鍵』を持っている
別たれてしまった、『扉の鍵』を
さぁ、歩き出して
時間はない 闇が近づいている
けれど急がないで 恐れないで
2人で、歩いてみせて―――?
割別の鍵・01
「鍵」
〜呼び声〜
……。
……………。
何だ夢か・・・。
私は盛大に溜息をついた。
夢じゃなかったらよかったのに。
…いや、それじゃ余計に奇妙だ。
キングダムハーツのOP辺りにそっくりだったよね、さっきの夢。
何か真っ暗な所に声だけ聞こえて、あんなふうに色々言われるの。
声質はどんなのだったか覚えてないんだけど、内容ははっきり覚えてる。
しかもその後、南の島みたいなのを見た気が。
…いや、見た。絶対見た。
確かあれはキングダムハーツの主人公・ソラがよく遊んでた島。
ゲームでも初めの方に出てくる。
晴れてて、海が真っ青で、ヤシの木に似たココヤムの木があって、他にも緑がいっぱいで。
丸太で作った家とか見えたし、FFからの出演のティーダとかワッカとかセルフィもいた。
…で、夜になって嵐みたいのが来て、リクとカイリが家から船で島に来て。
ソラも来て。
ソラの前でカイリが消えて、リクは闇に飲まれて。
影に似た奴――ハートレスに襲われて、ソラは手のひらに現れた大きな鍵…キーブレードを使って戦った。
それでその後巨大なハートレスが出てきて、
…出てきて。
・・・・・・??
そこから思い出せない。
ここまで来たらキングダムハーツのあのシーンと同じように、ハートレスと戦って勝つけどソラが別の世界に飛ばされる…って感じになるんだろうけど、どうも引っ掛かる。
何だかパリーンって感じの音がしたような。
…気のせい?
でもどうせ夢だし。
あぁ、キングダムハーツのしすぎかしら。
だって…萌えるし。
ソラのあの生脚は萌えるっきゃないよねーvv
…って、そのためだけにしてるわけじゃないけど。
それにしても、初めの方に声が言ってた「別たれてしまった、『扉の鍵』」ってどういう意味かなぁ?
鍵っていうとソラの持ってるキーブレード辺りなんだろうけど、分かれたり…するわけないよね。
分解できそうもないし(ぇ)
あぁー、もう少し寝ようかな。
続き見れないかな。
キングダムハーツの夢ならバッチこーい!!
「!!!起きなって、ほら!」
「ふぇ…?」
呼ばれて目を開くと、隣の席から友達が私を揺すってきていた。
…なんだよぅ、私はねむいんだよ。
「っ、先生に当てられてるってば!!」
「むぅー…?」
意識を何とか浮上させてみる。
…ん?今…先生に当てられてるとか…?
「!!!」
「!!!」
しまった、今授業中だった!!!
しかも数学…厳しい先生!!
ぐはぁっ…後で絞られる…。
私はとりあえず問われた内容を友達に聞いて答え、先生にバレないように小さく溜息をついた。
***
帰り道。
私は、今度こそ盛大に溜息をついた。
あの後、休み時間に呼ばれはしなかったものの、放課後に職員室に呼ばれた。
休み時間のほうがまだマシだった…。
いや、私は居眠りの常習犯だからね。
普通に2〜3回やっただけじゃ呼ばれたりはしないさ。
寧ろ呼ばれる方が珍しい。
…まぁ、そこまで回数重ねた私が悪いんだけども。
勿論テストの成績は悪い方ですv(をい)
ああ、一緒に帰る人がいれば慰めてくれたりとかしてくれるんだろうけど(してくれなきゃ駄々こねる)、残念ながら皆違う方向に帰る人ばかり。
いつもながら1人で帰るのは寂しいね…。
私は赤信号が青に変わるのを待って渡った。
…と。
「!?」
電気屋さんの角を曲がって、何かがひょこひょこと細道に入っていった。
何だ?人…じゃないよね。
犬?…が、あんな軽快なステップ踏むか!
じゃあ何?
私の目には…
ハートレスに見えた。
私、とうとう視覚まで萌え波動にやられて…!!?
いやいや、そんなはずは…
でも見えた。見えたんです。見えました!!(しつこい)
…行ってみるか。
確かめればいいんだよね。
私は電気屋さんの角を曲がった。
…あ、やっぱ何もいない。
気のせいか…。
……と、
ひょこん
きょろきょろ
ひょーいっ
・・・・・・・・。
「ハートレスだ!!!?」
思わず叫んだ。
何だか真っ黒で丸い頭してて触覚生えてて目は黄色、
ちみっちゃい上にひょこひょこしてるって言ったらシャドウに決まってるでしょ!!
敵のくせして中々かわいいのよね!!
私が叫ぶと、シャドウはこっちを振り返った。
…どうでもいいが、あれぬいぐるみじゃないの?
そうでなければ電気屋の策略!!
私がKHファンだってことを見通してのことなのね!?
あぁ、ツボを心得てるわ…!!!
それにしても素材は何だろ?
布…にはちょっと見えないけど。
「!!」
あれこれ考えている内に、振り返ったその1匹のシャドウは私めがけてジャンピング。
鋭利(っぽい?)爪を掲げて飛び掛ってきた!!
何!?私の胸に飛び込んできてくれるの!?(違)
…って、衝突したら微妙に痛そうでないかい?
道が細いので、ぶつかったら反動で壁に頭ぶつけそうだ。
ごめんシャドウ!!
私はシャドウが地面に衝突するだろうことを心の中で謝りながら、シャドウを避けた。
が、
『ズガッ!!』
シャドウはその爪でコンクリを少しえぐって難なく着地した。
コ…コ…コンクリがえぐれたああぁ!!!?
私は我が目を疑った。
ぬいぐるみがコンクリえぐるか!!だとしたらファンを殺す気か!!!
精一杯制作会社にブーイング飛ばしながら、青ざめた。
シャドウが、体勢を整えて再び爪を掲げたのだ。
そんなに爪伸ばしたら危ないってお母さんに言われなかったかいー!!?
後ずさってみたが、怖くて駆け出すのも嫌だ。
まず背を向けられない。
シャドウってかわいいだけじゃなかったのね…。(今更)
どうでもいいが、これは本物なのではなかろーか。
写メでもとっておきたいが、そんな暇はなさそうだ。
捕まえるとか、無理だろうこれは。
大体、ソラのキーブレードとかでしか倒せないんだし。
木剣で攻撃して霧を切るみたいにスカ振りしてたよね、ゲームの初めの方で。
ジリジリと後ろに下がる私に、シャドウは遂に飛び掛った!!!
「嫌ぁ――――――!!!!!」
私は頭を抱えて座り込んだ。
そんなことで逃げられるわけではないのに。
…てか、殺されるー!!!
刹那、
『キィンッ!!』
閉じた瞼の裏からでも分かるくらいの光が、私を包んだ。
何・・・?
目を開けると、私の体が光っていた。
シャドウは動きを止めて着地。
何だぁ?
……あ、
何かソラがキーブレードを貰うときと似てないか?
あり得る!!シャドウがいたくらいだし!!
私がキーブレード貰っちまったらソラはどうなるのかいささか疑問ではあるけど!!(をい)
私は両手を見て待った。
・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・。
な・に・も・出・ね・ぇv
「嘘だぁぁ!!!?」
この状況どないせーっちゅーねん!!?
光っただけかよ!!!?
シャドウは首を傾げた。
…私だって傾げたいわ!!!
しかもお前かわいいわ!!!(ぇ)
そして、道の奥を見た私は息を呑む。
……ハートレスの軍団だ…。
絶体絶命。
そんな言葉が私の脳裏をよぎる。
…そして、
「…っ!!?」
キィン、と。
私の頭の中に何かが響いた。
それはただの音ではなくて、遠くから届いている気がして、
ハートレス達が一斉に飛び掛ってきたのもあって、私は目を閉じた。
そして唐突に薄らぐ私の意識。
ハートレスに何かされたわけでも…多分ない。
まだ攻撃は当たってない。
けど、まるで…そう、一瞬にして眠りに落ちるような感じで、私は意識の底に落ちていった。
最後に、ハートレスの体当たりが私の喉に直撃した気がして、
けど、当たった感覚はなかったから、
遠のくままに、私の意識を委ねてしまった。
<アトガキ。>
何だか他のドリに比べて短い開始ですKHドリ。
…実は長かったので切りました(おい)
第3話までが第1話の予定でした。(長)
KHを分からない人でも読めるようにしたいなぁとか思いつつ書いてたら、説明っぽくなり過ぎました。(おい)
読みにくくてごめんなさい。
今回KHキャラに会ってませんね。
2話ではちゃんと登場しますんで。
それでは。
2005.1.8